「挑発的作品」新聞記者 スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
挑発的作品
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当時の参院選前というタイミングでの封切り。
そして、実際の疑惑やスキャンダルをモチーフにとても挑戦的に仕上がった本作は時代や国家が違えば公開などされないし、かなりの問題作だろう。
個人的にはこういう攻撃的な作品は大好きだし、この寛容な時代と国家に生まれたことについては感謝している。
物語の中身はマスコミの情報操作対策として動くことを建前とする内調が官邸主導の元、権力への反逆者や都合の悪い人物たちを潰すため、公安も動員してのスキャンダルをでっち上げSNSで拡散。
あくまでもフィクションであると信じたいが、
なかなかそうは観れない。
世の中の政治不信の風潮と浸透により生まれた本作。所詮、我々一般市民は三次情報たるマスメディアでしか捉えられないという限界があるし、賢く生き抜くのに疑うに越したことはない。
そんなリアルともフィクションとも捉えられる設定の中、若き女性記者と若き内調職員の勇気ある行動により、国家のとんでもない陰謀を炙り出す。
正直、政治に正しい間違いはわからない。
というか、どんな仕事にも完璧な正解は存在しない。
正義と悪の境界線は曖昧な部分もあるが、超えてはならない一線は必ず存在する。人々が血を流し、飢えることのないように。
今までの歴史で犠牲になった人々からの教訓。
そんな命に代わって今日がある。
ただ、残念ながら物語の結末は余白を残しつつも、「希望からの抗えそうもない絶望」という解釈が妥当だろう。
われわれ有権者の限界と与えられた問い。
そして、こうしている今も日々公益と知る権利を武器に奮闘する方々がいるのだと痛感させられる作品だ。
権利の上に眠っている場合では無い。
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