「骨太なエンタメ作品」新聞記者 あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
骨太なエンタメ作品
正直、望月衣塑子氏にはあまり良いイメージを持っておらず(政権寄りのプロパガンダに毒されているのかもという自覚はある)、この作品もチェックはしつつ何となく観ないうちに公開が終わってしまったという状況だった。
日本アカデミー賞受賞をきっかけとしたリバイバル上映で観たのだが、、何と良い作品ではないか!
(皮肉でなく真の意味で)プロ意識を持ったジャーナリストと国家公務員を主人公に据え、職業人としての矜持と家族を想う私情との間で揺れる二人を描いた意欲作である。
何より、主演のシムウンギョンと松坂桃李が素晴らしい。政治思想のやや強い(とみられる)本作によくぞここまで良い役者が揃ったものだ。田中哲司の悪役が何とも憎たらしい(褒め言葉)。
日本人女優が主演を引き受けなかったなどと揶揄する声もあるが、自分はそうは思わないし思いたくない。日本人女優だと、松坂桃李との恋愛感情に結びつけられ、ストーリーの主旨が変わってしまう。帰国子女を演じる彼女だからこそ、恋愛感情など一切感じさせず、お互いの職業人としてのプロ意識が迸る作品になり得たのだ。
正直、望月衣塑子氏自身に対する評価は定まっていない。でもこの作品は最高だ。
永遠の0も新聞記者も作品賞に選ぶ日本アカデミー賞は案外に中立で、自分の様な映画好きとしては誇らしい。思想はどうあれ良い物は良い、それで良いじゃないか。
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