劇場公開日 2019年6月28日

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「馬鹿の賛同は批判より迷惑。」新聞記者 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0馬鹿の賛同は批判より迷惑。

2019年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『メディアは政府のチェック機関であるべきだ』
なにもっともなこと言ってるんですか(笑)?

いち権力者、一般人が情報発信力を持つ現代において、
既存のメディアはその力を失いつつある。

本作はその理由を、以下2点としている。

1)一般人が愚かでSNSなどの情報を直ぐ信じてしまうから、
政府によるTwitterでの印象操作が簡単で、既存メディアへの不信感が強まっているから。

2)政府が、既存メディアに圧力をかけるから。

そうなんですか?
一般人が愚かで、政府が極悪。
ただ(主人公の)ジャーナリストだけが正義。
勘弁してくれ!と言いたい。

既存ディアは、自分達を鑑みることはしないんですか?
なぜ既存メディアが権威を失ったのか。
それは既存メディアが、自分たちの価値を読者(視聴者)に示せないからじゃないですか。

本作を観てもよく分かりますよ。
実際の事件を匂わす程度のなんちゃって社会派な物語に、
「やりすぎコージー」並みなプロモーションで説得力を持たせる汚いやり口。(選挙前にあざと過ぎる)
・政府の圧力で番宣ができなかった?
・有名女優にオファーしたけどイメージダウンを恐れ断られた?
・HPの鯖が意図的にダウンさせられた?
匿名ライターによる情報が口コミで広がり、
興収上向きですね。
おめでとうございます!
これこそ、本作で描かれてる印象操作ってやつですよ。

内調が、全員でツイッターしてるシーンで爆笑しました。
そんな部署じゃないことは、製作側は知ってるでしょ(笑)?
原案者(原案にすらなってない)は、内調に入ったことあるんですか?
認可先がはっきり「内閣府」って書いてある(笑)
最悪、内閣府が文科省に圧力かけたとしても、そのまま書くわけないでしょう?むっちゃ笑える。

主役のジャーナリストの父親が自殺。
官僚の先輩も自殺。
ちゃんとした証拠も示せないから「実際の事件を匂わす」エピソードを、
観客の「哀れ」に思う気持ちに訴えかけて「政府敵視」に誘導するやり方。
酷いとしか言いようがない。

また、本当に覚悟を持って作ったのなら、
原案者であるジャーナリストが調べ上げた真実があるなら、
実際の名前を出して、制作側はその責任を負うべきじゃないですか?
逃げ道、保険をかけるような物語で、
なにが「メディアは政府のチェック機関」だ。
だから既存メディアが権威を失ったんですよ。

最後に『この国の民主主義は形だけでいい』
そんな台詞があります。

民主主義とは何か?
民主主義とは多数決で決める。
みんなの意見を聴く。
といったプロセスではないんです。

選挙がありますが、
国民が自分の一票に責任を持つ。
自分の意見に責任を持つ。
それが「民主主義の根幹」をなすものです。
本作の製作陣は、
実際の事件を匂わす程度のファンタジー作品を作り、
その肝心な責任から逃れようとしている。
なにが「民主主義は形だけ」だ。
ブーメラン過ぎて、失笑しかない。

所謂そっち系の人が、本作を貶した方を集団で叩いている場面がネット上で散見される。
本サイトでもそうですね。
本作では、政府がメディアに対して規制や圧力をかけるシーンが描かれてました。
そっち系の人がしてることも同じなんですよ。
「そんなことにも気付かない程度の人が観る映画」と
思われてしまうので、自粛したらどうですか(笑)?

「馬鹿の批判より賛同が迷惑」なんですよ。

ま、左のヒロインと言われる原案者ですから、
本作もそっち系の人が後押ししてくれることは制作側は想定内でしょうけど。
劇場公開まで漕ぎつけて凄いと言ってる方も多いけど、
そっち系が観に行くことは確定してるので、そりゃシネコンでだって上映するよ(笑)

原案者の他の作品や、官邸での質問風景、原案者に相反する意見を持ったジャーナリストの著書などを読んで、観た方それぞれで国を考える。
……、きっかけになる映画としては、意義があると言えますかね。

※雲がかかったような霧がかかったような映像、逆光、バックに国会とか、ほんとあざとさが目立つ演出が気持ち悪かった。

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さぽ太