劇場公開日 2019年6月28日

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「意味怖ならぬ意味笑」新聞記者 くりあさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0意味怖ならぬ意味笑

2019年7月11日
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鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

政治的安定のために官僚組織によって行われる陰謀、それに巻き込まれる末端官僚と気骨の記者。
内閣府で秘密裏に行われる世論操作や偽装工作に、一般市民は気づいていない……。

政治家個人を全く出さず、「上からの圧力」としてのみ意向が示されるだけにしたのは、話の発散を防ぎ正解だと思う。
登場人物の数も絞られており、無駄な脇道もなく、少々強引な展開はあるものの許容範囲。
ここまでおおごとにしてどうオチをつけるのかと思っていたが、この二人の物語としてはここが結末で良いのだろう。

韓国人女優を起用したことによる言葉の問題は、帰国子女のため日本に毒されていないことや、日本人父と韓国人妻の子であることなどがさらっと触れられており、悪くなかったと思う。

陰謀サスペンス邦画によくある欠点はなく、単体の作品として良いまとまりなので星3。

さて。さてさて、さて。

この、単体ではマジで笑いどころのないサスペンスが、だ。
モデルとなった現実と付き合わせると、途端にギャグ映画になるという。
何というハイコンテクスト。

前川喜平が官僚を語る!
望月記者がジャーナリストの心構えを語る!
ちょくちょくその映像挿入すんな、笑うだろ!

くっそ馬鹿馬鹿しい飛ばし記事に反応してまじめに「ネットサポーター」とか言い出す内閣調査室長。
「全国の新聞が同じ段組で同じ記事を乗せるなんてありえない。内調の圧力ですよ」ウンウンうなずく記者たち。
笑わせに来てるだろ!

朝日新聞のハンセン病訴訟の誤報の後だけに、「それを出すと誤報になるぞ」という脅しがもう最高。
この映画を下敷きにしてたから、ネットの朝日新聞擁護者の反応があれだったんだな。
わざとかと思うくらい絶妙なタイミングのリアル誤報だった。

いやあ、自分のことをこんなサスペンスの主人公だと思って生きてるのは楽しそうだなぁ。

まさかの、意味がわかると笑える話。
リアル連動映画。
映画の新機軸。
この面白さは今しか味わえない。
そういう意味で、「今見るべき映画」だと思う。星の数関係なく。

ところで。
これが日本の現実とか言ってる人、現実とフィクションの区別できてなさそうで心配です。
もしかして、作ってる方も自分の作ったお話を信じちゃってますか?
そこが意味怖。

くりぽん