「嘘か本当かを決めるのはお前じゃなくて国民なんだよ」新聞記者 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
嘘か本当かを決めるのはお前じゃなくて国民なんだよ
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父の「誰よりも自分を信じ疑え」を常に胸に刻む吉岡。新聞記者の信条としてはいい言葉だと思う。
「つらいなあ、過去の自分に叱られるっていうのは」と微笑みでお道化てみせる元上司の正義を受け継いでいる杉原。官僚としてまだ血の通っている証拠だ。
そんな二人が、いろんな形の犠牲や人質を取られながらも自分の信じる道を進んで行き、ようやく最後に差し込まれようとした一筋の光明が、見事に潰されていくのだが、それがいい。もちろん、気持ちのいい話というわけではなく、映画として。それも、立ちはだかる壁に絶望するのではなく、人の弱い部分に杭を打ち込こまれて屈していく姿が、一人の人間の限界を訴えかけてくる。急激に表情が冷え込んでいった杉原が最後にぼそりと放つ言葉がなんなのか、吉岡の必死は成果を得るのか、その疑問を孕んだまま、まるで現実に起きている事件と同じく、物語の結末も闇の中へと沈められていくようだった。
ちなみに、この映画の内容を全面肯定をしてはいない。個人的に原作者の記者自身に不快感を持っているし、だいたい、これ自体も幾ばくかの「情報操作」でもある。元官僚のM氏も脛に傷を持っているくせに善人ぶっている姿がうさん臭く思っている。国民も、可能な限り情報を持ち見極め考えることから始めなければ。
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