「まるで他人を切り刻むように、自分を解剖する」人間失格 太宰治と3人の女たち shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで他人を切り刻むように、自分を解剖する
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映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」(蜷川実花監督)から。
小栗旬さんが文豪・太宰治を演じ、小説「人間失格」の誕生秘話を、
太宰を取り巻く3人の女性たちとの関係とともに描いたオリジナル作品。
解説のとおり、見応えのある作品で、久し振りに私のメモも溢れた。
しかしどうしても受け入れられないシーンが何度か・・(汗)
基本中の基本とも言うべき、太宰が左利きで原稿を描くシーン。
書いている文字と、出来上がった文字が明らかに違う。
ラストの筆書きの遺書も、どうみても右利きの人が書いた文字。
当然、制作前に綿密な打ち合わせをして、
本来、太宰治は右利きだけど、演じる小栗さんは左利きだから、
どちらでいこうかと決めたはずである。
「左利き」で通すなら、それまた演出として受け入れるので、
出来上がった原稿、遺書なども、左利きの文字にして欲しかった。
筆の入れ方や文字のハネなど、左利きには書けない文字の形がある。
せっかくの作品なのに、その辺りの統一感が残念だった。
大きな賞を受賞した作品だからこそ、後世に残る作品として、
観る人に違和感が残らないようにして欲しかったなぁ。
最後に、気になる一言として残すとしたら、
小説家が、傑作を書くためにすることは、
「まるで他人を切り刻むように、自分を解剖する」ことらしい。
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