劇場公開日 2019年9月13日

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「相変わらず芯が強くて好きです」人間失格 太宰治と3人の女たち まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5相変わらず芯が強くて好きです

2019年9月23日
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蜷川実花作品は好きだから必ず観るけど、元々太宰の人間失格が大好きなので楽しみにしてた笑。(私は自分もネガティブ女だからか、こういうネガティブなタイトルや内容の作品が好きなんです。「弱くても勝てます」「ごめんね青春」「泣くなはらちゃん」とか、ネガティブ寄りな言葉がタイトルに入ってる作品も同様に笑。一周回って明るくなれるので!)
蜷川実花は私の中では映画作ると外さない人。原作ありきの映像化が毎回だけど、原作の良さと自分という人間が作る良さを絶対に損なわない作品が出来上がるから、凄いなぁーといつも感心します。この人の作品は「映像がきれい」「とがってる」「アート系な作品」とかそんな一部分だけの好評ではなく、演技とか空気感とか人選とか全てが蜷川実花好みであり自分の作りたいもの・映像・作品へと突き進んでいて一貫性というかポリシーや芯がしっかりしていてどっしりそこにあってかっこいいです。
今回の作品は太宰が「人間失格」という作品を世に出した後に、彼に関わった3人の女がそれぞれ書いた手記を蜷川が読んで作った映画。
私が思うこの映画の好きなポイントは、普通に生活して人生を生きてりゃまともにきちんと毎日を送るであろうとても芯の強い女性陣が、太宰という男によって恋に狂わされていくところ。私みたいな平凡で弱々な芯で何とかいつも取り繕ってる女だけでなく、芯が強い人でも自分が自分じゃなくなっていく「恋」っつーものは…とんでもない魔物なんだなーというところが上手く描かれていて好きです。キャスティングも半端や妥協など一切無く、ただ演技上手い役者を揃えたでも無く、本当にぴったりで気持ちが良かった。
(こないだのボクらの時代で小栗旬が「ラブシーンが初めてだった」って言ってたのも驚いた。しかも初挑戦がこの作品て…。なんだか新鮮で可愛良いなと思いました◎)

まつこ