「命がけの「人間失格」」人間失格 太宰治と3人の女たち bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
命がけの「人間失格」
初めて太宰の作品を手にしたのは、今から40年くらい前。当時、太宰役を石坂浩二が演じた「冬の花火」というドラマを通して太宰に興味を持ち、「人間失格」他、何冊か手にしました。
人の陰の部分や弱さをあからさまに描く、彼の作品は、正に彼自身の生き様が、表れているのですね。
今回は、太宰の史実を元にしながらも、そこは蜷川作品。僕的には、レビューで酷評されるほど、悪くはなかったと思いましたが…。
女と酒にタバコに酔いしれた太宰の人生を色彩美溢れた映像によって、耽美な世界観へと導いてくれていて、蜷川マジックに相応しい内容かと思いました。
ただ、自分が小説から感じていた太宰のイメージとは、小栗旬のキャラはチョット違うかな…。もっと線が細くて、母性本能をくすぐるようなイメージでした。唯一、妻の美知子の膝枕で、太宰が子供のように寄り添うシーンは、太宰の弱さと脆さがよく表れていたんじゃないかな。
周りを囲む宮沢りえ、二階堂ふみ、沢尻エリカの名だたる女優さんは、それぞれに良い味出して、役柄にピッタリだったと思います。特に、二階堂は体張ってましたね。三島由紀夫のくだりは、あそこだけ流れが浮いて、思わず苦笑してしまいました。あれは必要なかったんじゃないのかな(笑)
改めて、あの当時の作家というのは、あんなに心身削り、身を滅ぼしてまでしなければ、小説が書けなかったのか…と疑問にも思います。
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