「チャカす訳じゃないけど現代劇にしてみた。」人間失格 太宰治と3人の女たち bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
チャカす訳じゃないけど現代劇にしてみた。
蜷川演出が正直苦手。太宰も苦手です。でも面白かった。軽いです。人間失格の誕生秘話なんて重みは無いし、あんまり。太宰治の人間性を深く掘り下げる、なんて今更ながらの野暮も無し。どっちかと言うと、太宰には笑えるから。
宮沢りえパートだけはマジ。旦那はチャラ男でも、山の神は現実的なのと同じく。宮沢りえ母子が、インクを顔に塗り合う場面には泣いた。
富栄が恋にのめり込む様が軽く怖い。「あー太宰はこの娘に殺されるぞ」って予感させます。事実は判らないけど。一途に思い込む女は可愛いけれども、覚悟のない男は手を出しちゃアカンがな。
太宰の屑っぷりの描写パートは蜷川原色演出。そこから、太宰の死までの日々は抑制された色使いに転じて、人間失格の執筆場面になだれ込む。現代劇的な軽さは面白かったんじゃないかとも思うけど、後半戦の「太宰が自らに人間失格の烙印を捺して執筆と死に向かう流れ」は、正直物足りなさはあります。
と、小栗旬の声が、度々、須賀を想起させるもんで。役者さんがアニメの吹き替えやるのも考えもんだと思いました。
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きりんさんのコメント
2020年11月30日
そう、台詞まわしも、キャスティングも明らかにトレンディな現代劇なのです。
「家に帰ると妻がー」のレビューにも書きましたが、「読書をしないアニメ・ゲーム世代の中高校生あたりに、せめて日本文学の書名や作家の名前だけでも覚えてもらう」
その狙いはあるでしょうねー。
でもファックシーンが多くて中学生はダメか、残念(笑)