「最後に何を思うのか。」運び屋 chaiさんの映画レビュー(感想・評価)
最後に何を思うのか。
本日TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞。
クリントイーストウッド89歳の監督作品。
登場するアールも90歳。
イーストウッドはこの作品の登場人物に自分を重ね合わせていたのではないだろうか。
90歳という晩年になり今まで生きてきた自分を見つめなおす。
主人公のアールはそれまで自分のことだけを考えて生きてきた。
外面がよく家族を顧みなかった。
その性格は多分90歳になっても変わらない。
お金が無くなり手を染めた犯罪だがそこにあまり罪悪感も感じたりもしない。
友達のお店がクローズの危機になりポンとそのお金を出してあげる。
そしてみんなからチヤホヤされ浮かれていく。
家族や犯罪によって被むる人たちの事など瑣末にしか過ぎなのだ。
簡単に手に入る大金。それがどんなに危険で世の中にとって悪なのかという道徳心も麻痺していく。
そんなアールだが愛想をつかされたもと妻の死に際してやっと気付いて後悔をする。しかしもう時は戻せない。
死んでいく彼女を見て彼はどう思ったのだろうか。
今まで生きてきた過ちを若い捜査官に伝える。
そこにイーストウッド自身が映画一筋で生きてきて家族からも嫌われた自分を重ね合わせたのだろうか。
最後の裁判で自分は有罪だと認めそれを受け入れて生きていく。
彼は後悔していたのだろうか。
それとも思うままに生きてきた自分に後悔は無かったのだろうか考えさせられる。
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