「クリント・イーストウッドでなければなし得なかった作品」運び屋 ポップコーン男さんの映画レビュー(感想・評価)
クリント・イーストウッドでなければなし得なかった作品
見ていて色々な感情が交錯していって疲れたw
まずはクリントの表情、非常に多彩な表情を使い分けて役者としての懐の深さと言うかスケールのデカさを改めて認識した。
スクリーンからにじみ出ているユーモアや色気やオーラはクリント本人の物なのか、または演じていたアールのものなのか、、、w
たぶんクリントの人となりが役作りと言うかアールそのものなのだろうと自然に納得して見ていた。
物語りは実在した90歳前の麻薬の運び屋とのこと。
色々と調べたが、作品で描かれている家族構成等は脚色なのかはわからなかった。
しかし、麻薬と言う悪魔の薬を配達しているがアール本人は楽しそうに歌を歌ったり、サンドイッチ屋に寄ったり、パンク修理を手伝ったりとw(モデルとなったレオシャープと言う人はデイリリーもコカインも人を幸せにすると言っていたらしい、、)
作品のアールは金を自分の私利私欲の為に使う訳では無く、家族の為、友人の為と心のあるやさしい人物の様な感じがしたし、ラストのシーンのセリフの一つ一つがクリントの発言の様にも感じたし
、限りある時間をしっかりと生きて欲しいと言うメッセージの様にも感じた。
冒頭の運び屋に誘われるシーンはなんか『オレオレ詐欺』に遭っている老人の様でwなんか危なっかしくて、勝手がわかっていない様子であったし、色々と困った表情をする時があるが、自分の死んだおじいちゃんとオーバーラップして胸が締め付けられる感じがして辛かった。
この作品は脇を固める俳優陣もすばらしいが、やはりクリント・イーストウッドでなければ出来上がらなかった作品であったと思うし、自分なんかはほとんどの作品をリアルタイムで見れてはいないが、数々の作品をこの世に生み出したクリントは本当に素晴らしい人物だと今更ではあるが感じた。
また当日見た回は朝一の上映であったが、年配の方が多く、非常に根強いファンが支えているのは人柄の良さもあっての事だと感じた。
こうやってレビューを書いている間も、クリントとのお別れの時間が少しずつ少なくなっていると感じるのはこの映画を見てしまったからかもしれない。これからいくつ作品を送りだしてくれるのかはわからないが、僕の様な人間が世の中に一杯いて楽しみに待っている事を忘れないで欲しい。