ウィーアーリトルゾンビーズのレビュー・感想・評価
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エモの捉え方
監督が自分の好きなもの全部突っ込んだ映画。
物凄い数のカット、これでもかと流れる音楽、途切れないオフのセリフ、様々な視点からのカット、ビビットな彩色、カメラに向けられる子供達の視線…
ギュ〜と詰め込まれた情報の中で、何が本当に伝えたい事なのかは結構わかりやすく最後の方にベタに登場する。
まさにエモいシーン。これをどっちに捉えてるのか?どう捉えるのか?少し迷った。
多分監督に子供がいるからだろうの全肯定のあのシーン、でも現実って皆が皆、そうな思っていたのかな?今までかなり捻くれた感情を見せてこられたばっかりに、エモいに疑問を持ってしまった。
面白かったともつまらなかったとも言えない難しい映画。
考えさせられる映画。って事はきっといい映画ではあるんだと思う。
あと中島セナはこれから物凄いことになりそうな気がする。
自己分析物語
事故や自殺や他殺で同時期に両親を亡くした13歳の少年少女4人が火葬場で偶然出会い行動を共にする話。
冷めているのか現実を受け止めきれていないのか、感情がないゾンビの様に親が死んだのに泣けなかった子供たちがバンドを結成し、世の中や他者をみるうちに、自分たちの本心がみえてくるという流れ。
コミカルに語ることで飽きさせない様にしている感じはあるけれど、自己紹介パートが長くて話がなかなか進まずちょっと怠い。
SNSの件からはなかなか良かったけど結論は…まあそうだよね。
若い人がみる分には結構面白いのかも知れないねという感じかな。
「世界はどうしてこんなに美しいんだ」(夜と霧より)
「音響とか面白くしてるんで、ぜひ劇場で観てほしい」という監督のツイッターをみて「じゃあ劇場で観ようかな」と思いたって出かけてみました。
確かに音響もなかなか面白かったです。
他の映画では体験できないような仕掛けがあったりするので、ぜひ体感してみてほしい。
「死」(特に親とか)を扱った作品が苦手なので、
ちょっと躊躇していたけれど、映像がポップだったので、
扱っているテーマに反して観やすかったです。
観たばかりなのでまだ消化しきれてないところはあるけれど、控え目に言っても監督は天才。
なんと言っても印象に残ったのは「セリフの今っぽさ」でしょうか。
初めてクドカン観た時みたいな。
現代の若い子たちに寄り添った「今」感がとにかくすごいと思いました。
役者陣の中では池松壮亮さんが良かったです!
今までこれといって注目して来なかったのを後悔するほどでした。池松壮亮さんを観るためにもう一回観てもいいくらい。
死を軽く扱っている、みたいな意見もツイッターなどで見かけましたが、逆に私は死が与える影響をものすごく強く感じました。
わあわあ泣くばかりが、死が与える影響ってわけじゃなくて、
細部をこつこつ積み重ねることで重みを感じさせるタイプです。ずっしりきました。
負の部分をこれでもかとぶつけてくるのですが、
きれいごとばかりで美しく「死」を見せようとする映画よりも、よほどリアリティを感じました。
褒められた親じゃなくても、彼らを失ったことで、子どもたちも、居場所だけでなく色や、感情や、味覚などを失います。ついでにお金も。
嫌な奴だと思っていても、そいつらが死んだからって全く自分に影響がないかというと、しっかり(自覚なくとも)傷ついているという。
(視力や、薬指など含めて)何か欠けたもの同士が集まって、欠けたところを埋めていくところは「ファインディング・ドリー」にも通じるというか…。
つまり、後味悪くないです。
シチュエーションは無理ゲーだけど、メッセージはシンプルで、「友達っていいものだよ」「どこかに必ずあなたをわかってくれる人がいる」という、非常に救いがあるもの。
だから、海外でも特に子どもたちに支持されているのだと思います。先に挙げたセリフの今っぽさも合わせて。
ギミックに引っ張られてわかんなくなってしまう人がいるのもわかりますが、
でも、どんな時にも希望はある、という信じられないくらいポジティブなメッセージを、見逃さないで欲しいなあ…。
5月に女木島で見た「世界はどうしてこんなに美しいんだ」というアートを思い出しました。
そしてそのアートの元ネタである、アウシュビッツ強制収容所の「夜と霧」のエピソードも。
明日をもしれぬ身の囚人であるユダヤ人が、あまりにきれいな夕日を見た際に思わず呟いたと言われる一言です。
人生をハードモードに感じている人にこそ、
この映画は美しくささるのかもしれない。
だから、苦しいなと思っている人にこそ、観てほしいと思う。
もっと話題になってほしい!
これはずるい…
言い方古いらしいけど、エモすぎ…エモの激流……
作った人への敬意を感じました。
灰色に思える人生も、誰かとの出会いによって生きてみるかという気になる。
これを観てcontinueの勇気をもらう人はたくさんいると思います。
冴えない人生だなぁとやさぐれている人は今すぐ劇場へ!
モノ作りにおける元々のコンセプトはなにか?
映画のストーリーや脚本やプロットやメッセージ性などは置いておいて、映画に限らず漫画や小説やアニメなどのモノづくりをする上で元々あるべきコンセプトとはなんなのか?
それはほかの人が足を踏み入れない領域を開拓していくことではないだろうか。
「今までもあったようなおまえらの口に合うような受け身の作品なんかじゃない!こんな作品みたことないだろ!これでもくらえ!」というような監督の強い意志のようなものを感じました。しかしそれはクリエイターとしてすごく重要な心構えだと思います。結局観た側が「あー面白かった」となるだけの作品は、先人が先を歩いて草をかきわけてくれた道を自分もたどっているだけで何も可能性は広がらないのだ。
過去、2001年宇宙の旅やマトリックスやファイトクラブだって色々言われたものだったが、それでもそういった作品たちに影響をうけ遺伝子を受け継いだ人たちがまた映画の可能性を広げてくれるはず。長久監督も様々な影響を受けた一人かもしれない。そして更にこの映画の素晴らしい遺伝子を受け継いでもらえるようにサンダンス映画祭やベルリン映画祭などでも賞を受賞したのだと思う。
新しい風の古い演出、表現方法
誰に向けて作られているのかわからない。
新しいというか奇抜な演出や表現方法は何故か古臭く感じてしまう。それは多分、伝えようとしてることがものすごく普遍的で代わり映えしないからだと思う。
若い子が見たらダセェと毒づきそうだし、私みたいな中年が見てもどこか古臭いと感じてしまう。劇場も上映終了後の雰囲気は最悪でした。
まあ、広告代理店に勤める気鋭のクリエイターと言うには納得
観客はまばら。 なんだか見終わった後にくる、微妙な感想。
演出はCMディレクターならではの切り取り方や映像演出で引っ張っていくものの、やはりこの手の演出はPVに適していると思う。2時間持たせるには、ちゃんと映画的アプローチをふんだんに盛り込まなければ持たない。
監督インタヴューで「俺は映画が大好きで死ぬほど観てる、ゴダールとかハネケとか凄く好きだし観てる」的なことを言ってたけどね、それ野球選手で例えるなら、王貞治と松坂大輔がすごく好きって言ってるようなもんで、そんなん映画好きな人はみんな観てるし、インタビューでいちいち言うことではない。
この辺りが電通社員らしい浅薄なものの発想。あと、映画界にお金の回り方を変えるのが、自分の使命とか言ってるけど、そんなん映画制作の本質ではない。あえて言うなら、芸術とを金は切り離した方がいいし広告ではないから、お金の回り方なんか考えてたら、いい映画なんか作れないと思う。
この監督の問題は表層的な広告代理店問題定義(つまりはどこかで見たコピー)を置き換えて言ってるだけで本質的な映画論とは違う問題だ。
だからやめて欲しい。
映像も大したことないです。
エモい寓話
試写会にて。
誤解を恐れずひと言で言ってしまえば「エモい寓話(怒られそう)」。話は現実離れしている。現実に立ち返って突っ込んではいけない。なぜ中学生の持っているゲームのハードがあんなにレトロなのかとか、お前らなんでそんなに自由に動き回ってるんだよ(警官来るだろ)とか、お前いつベース弾けるようになったんだよ、ドラム叩けるようになったんだよとか、結局契約どうしたんだよとか...そういうことを考えてはいけない(考えてしまった私は老害だ)。これは映画。フィクション。寓話。以上!
8bitのピコピコミュージック(大変ノスタルジーを感じる)や映画の色彩の派手さ(これが最後に効いてくるのがすごい)、ゲームに擬える視点、子どもから見た大人、インパクト溢れる衣装と歌...。ある意味全てが「子どものおとぎ話」、しかしその背景が凄惨極まりないというところ。両親を喪うという絶望、咀嚼できない感情、理不尽(に見える)大人、正義という名のバッシング、盛りだくさんの感情を4人の子どもたちが背負い駆ける。悲壮感もなく。ある意味無味に。しかし感情的に。
私がもっと若かったら、多分泣いていただろう。でもだいぶ歳をとってしまったのでどうも分析してしまう。悲しい。
ちょいちょい挟まる小ネタの妙が才能だなと感じた。「城」が出てきたときはビビったが。そういう細かさに笑うのも楽しい見方だし、感情や家族や大人や、人生について考えて観るのもひとつではあるだろうと思う。詰め込みがすごくて多面的な映画なのだ。
子役たちは、リアルさがないのが逆にフィクション性を際立たせていて良かったと思う。リアルな演技でない感情の出し方というのが嵌る映画なのだ。それにしても脇が豪華すぎて笑ってしまった。恐ろしいほどオールスターキャストである。よく揃えたな。出番少ないけど印象が強すぎるでしょ(褒めています)。
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