「「風穴」空けて欲しい。」ウィーアーリトルゾンビーズ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
「風穴」空けて欲しい。
まず評価をハッキリさせておきたくて4★にしています。基本は好きな映画でした。劇場を出る時の満足感は高かった。面白い。だがしかし。意味を考えても考えても考えても、第一印象から全く深くならない。どころか、騙されてた気分。「わかった顔して言うだけ言ってみた、撮ってみた」の印象が深いです。
高評価ですが、多分この後、貶しまくります。
あらゆる描写が「松子」感覚で進みます。4人の子供たちの両親がどうやって死んだのかの短劇は面白いです。テンポ良い。このパートのエピソードは、世相・社会問題を写す鏡。また有名俳優が次々にちょい役で登場し消えます。ヒット&アウェイの役者さんと同じく、どのエピソードも私たちの心をノックするだけ。映画の軽さは、そのせいもあるんだと思う。抑揚のないPerfumeのVocalの様なイクコの演技も途中で飽きてきます。
「リトル」を名乗るには何らかの意味があるのだと思ってた。死んだも同じの大人たちの予備軍だからリトルなのか。両親に死なれた死にぞこないだからリトルなのか。この狙いも答えも、結局は解決を見ず。「but Alive」ゾンビだけど生きてるぜ。聞いてみたいのは「両親を殺したのは誰か」じゃない。「君たちを殺したのは誰なの?」。答えはオトナ?あまりにも面白くないことない?
おっそろしく長いMVだと思えば腹も立たないけど、歌が下手過ぎてドン引き。逆に上手すぎるのもドン引きになりそうだけど。
取りあえず生きては行くが、自分が何をしたいのか、何をすれば良いのかも判らない4人の姿に、感動なんてものは微塵も感じなかった。これ、多分監督さんも同じ生き方して来たんだと思う、いや、下手すりゃ現在進行形。原っぱを各々の方角に向かって歩く姿は印象的。だが、そこに至るまでがホントにクドイ。「気負い過ぎていた頃」の韓国映画に似てる。なかなか終わってくれない。真っすぐに終わらせたくないのでしょうか。最後にサプライズ的な感動か何かが要るんですか?どうしてそんなものが要るのでしょうか?と、問い詰めたくなる。誕生場面の必然性って何ですか?ツナガル命の素晴らしさ?唐突にそれは無いでしょう。前後に、この場面とツナガッテル何かが無いことないですか?
エモいってのは死語らしい。BensonのNo one emotionが1984年だって。エモは35年前から死語。これこそゾンビじゃないですか?
最後に、今後への期待。
最近気づいた「外れの法則」。映画の宣伝コピーやチラシなんかに、某巨匠の名前が入ってる映画は、例外なく全部クソ外れ。観る価値無しって言ってもいいくらいの愚作が並ぶ。おかしい方向に向かってる、絶対に。商業主義が駄作を引っ提げて、文芸だの芸術だのココロかきむしる名画だのと、適当な謳い文句で人々に押し売りしている今日この頃。
Emotion、良いじゃないですか。ドンドンやって欲しいです。ガンガン行って欲しいです。「風穴」空けて欲しい。