「ベイさんがド派手に世直し!」6アンダーグラウンド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ベイさんがド派手に世直し!
マイケル・ベイによる2019年のNetflixオリジナル映画。
最近『アンビュランス』を見返した時、そういやベイさん映画なのにまだ見てなかった…と思い出して鑑賞。
現在配信中の『新幹線大爆破』もそうだが、配信のみが惜しい作品がある。本作も然り。
ベイさん節大炸裂!
のっけからド派手なカーアクション! 並みの作品だったらクライマックス級。
被弾し、止まらぬ流血。銃弾を受け、血飛沫が乱舞。極め付けは、眼球…!
実は過激なバイオレンスやグロ好きでもあるベイさん。メジャースタジオで出来ない事を、やりたい放題!
開幕はほとんど説明もナシで爆走状態。
それでも登場人物たちの会話と主人公のナレーションによると…
何かのミッション中のチーム。リーダーは億万長者で、通称“ワン”。チームメンバーは互いをナンバーで呼び合う。
“トゥー”は元CIAのスパイ。
“スリー”は殺し屋。
“フォー”はパルクールの達人の盗っ人。
“ファイブ”は医者。
“シックス”はドライバー。
ライアン・レイノルズをリーダーに、極秘のデンジャラス・ミッションを遂行する、その名も“ニュー◯‐フォース”!
…というのは冗談で、
彼らは“ゴースト”。
法で裁けない悪党どもに制裁を下す。腐敗した国家や悪政などの組織的なものにではなく、民を苦しめる独裁者や犯罪人など文字通りの悪人。
“ワン”がバットマンさながらの財とハイテクで作戦とターゲットを決め、メンバーはスカウト。
スカウトされたメンバーは死を擬装。家族や友人とも関係を絶つ。
それまでの全人生を捨てる覚悟が入る仕事だが、死んで“ゴースト”になった事で寧ろ自由に。履歴も存在も抹消され、相手のサーチにも引っ掛からず、ミッションに於いては強みに。
イタリア・フィレンツェで初ミッション。その内容は…
某国の独裁者を倒す。フィレンツェにいる顧問の弁護士から(眼球セキュリティで)情報を入手し、配下の4人の将軍の居所を突き止め、抹殺。中国に軟禁されている民主派の弟を新たな国のリーダーに立て、独裁政権と独裁者そのものを葬る…。
ミッション:インポッシブル…! いや、強烈個性のメンバーからすれば、ミッション:ポッシブル…!?
ほぼ強引なやり方で情報の入手には成功。が、激走中に“シックス”が死亡…。
仲間を失ってもミッションは止めない。お互いをよく知る仲でもない。誰か死ねば補充を。
スナイパーの“セブン”。
新たな“6人のゴースト”となって、ミッションは続行。
端から見れば、無鉄砲集団。実戦経験あるのも半数。
作戦は緻密に立てるが、ほとんど出たとこ勝負の力技。その荒々しさと勢いで4人の将軍も仕留める。
危なっかしさを孕みつつ、意外とやる奴ら…?
勿論、各々訳あり。死を擬装するほど。
仲間意識や恋愛感情もご法度。しかし危険を共にする内に、育まれていく。
それを良しとは思わない“ワン”。いつもはムードメーカーのライアンだが、ジョークやマシンガントークは飛ばすが、いつもよりかは非情タイプ。
メンバーも徐々にキャラが目立っていく。“トゥー”(演メラニー・ロラン)と“ファイブ”は華を添え、“スリー”はいつもならライアンがやりそうなちょいウザ俺様タイプ。“フォー”はイケメン枠で、“セブン”は仲間意識を芽生えさせる。
何だかんだチームになっている。いや、チームになっていくのだ。
もうとにかく、ベイさん印のアクション!アクション!!アクション!!!
カーチェイス、銃撃戦、肉弾戦、バイオレンス!
小惑星衝突や巨大ロボットバトルは例外とすれば、生身のアクションとしては、ベイさん史上最強は嘘ではない。
“アクション”と“マイケル・ベイ”を思う存分魅せてくれる。
嗚呼、劇場大スクリーンで…いや、もう言うまい。
ラストも良かった。
捕らえた独裁者を彼らで静粛するのではなく、民衆の中へ。
虐げられた民衆の怒り、憎しみ。独裁者の惨めな最期。
本当の意味で独裁者を打倒。
勝ったのは俺たちじゃない。民衆だ。
…なんてあの名台詞が浮かんで来そうだが、ベイさん版『ミッション:インポッシブル』であり、『必殺!仕事人』であり、アウトローたちが悪事を砕く様は西部劇風でもある。
ベイさんが、ド派手に世直し!
Netflix配信で視聴回数も良く、大ヒット。
続編の話は出ただろうが、実現に至ってない。
このミッションもコンプリートして貰いたい。