「どこを切っても下品なベイ印。でもメラニー・ロランとベン・ハーディは美しい。」6アンダーグラウンド よねさんの映画レビュー(感想・評価)
どこを切っても下品なベイ印。でもメラニー・ロランとベン・ハーディは美しい。
中東の独裁国家トゥルギスタンを牛耳る独裁者ロヴァクは世界中から非難を受けているが米国の庇護下にあり誰も手を出せない。業を煮やした大富豪はスパイ、ヒットマン、泥棒、医者、ドライバー、スナイパーといったプロ達をスカウトし、彼らの過去を消去して精鋭チーム”ゴースト”を結成、”死者の日”に新政権を樹立するべく極秘ミッションを遂行する。
『チャーリーズ・エンジェル』、『特攻野郎Aチーム』、『ハングマン』や『必殺仕事人』みたいな昭和の香りがするアナクロな話も7周半回って逆に珍しいかも。でもこういった設定は各メンバーのキャラを立てつつ話を転がさなければならないのでTVシリーズの尺向きのもの。2時間強の尺では相当冴えた編集やないと厳しいのではと思いましたがやっぱり厳しかったみたいで尺の1/3を使ってキャラ紹介・・・マイケル・ベイ作品にして短い尺なのに何度も寝落ちしてしまう冗長さは健在。ネトフリ作品なので巻き戻せるというのはベイ作品に向いてるフォーマットかも。
とにかく全編ベイ風味全開で、トランスフォーマーを観に来た子供達には見せられなかった下品なエログロをこれでもかとブチ撒けています。通行人だろうが敵の雑魚キャラだろうが関係なく撥ね飛ばすカーチェイスとか、あれですかフィレンツェの街を走ってる乗用車には全部火薬が積んであるんですかレベルでもう肉塊が飛び交う花火大会にはなっていて清々しいです。脚本が悪いんだと思うんですが、敵も味方もくだらないシャレしか言わないのでスベりまくっていてもう聴いてるこっちが恥ずかしくなります。
設定も死ぬほどテキトー。全員死を偽装しているわけですが生体認証が当たり前の時代、死んだからと言って存在が抹消されるわけじゃなくてフラグが一本立つだけ。だからうっかり防犯カメラに映ってしまうと敵に「こいつ、死んだはずなのになぜ?』と特定されてしまってる。存在がバレたらそりゃ家族だ親戚だはあっさり危険に晒されるはずですが敵はバカだからそこまで調べない。こんなん作戦成功したんは敵がアホやからってだけやん。なんかもう作戦とかも行き当たりバッタリでチョー適当なんですよ。一番頭を抱えたシーンはマンションのロビーで笑気ガスまくところ。ガスを吸うた人間が笑い転げるんですけど、あのさあ笑気ガスってぶっちゃけ麻酔やねん。顔の筋肉が弛緩して笑ってるようには見えたとかそんな理由でLaughing Gasと呼ばれてるだけで、別に笑いが止まらなくなるわけじゃない。お前らアレやな『リーサルウェポン4』からパクってるやろ、アレはもう全部デタラメでアジア人蔑視に満ちたクズ映画やからね。
ということでこれといって意味もなく細かくカットを割ってカメラをグリングリン振り回したりのいつものクドいハッタリもとにかく冗長、大して面白くもないエンディングまでどこを切ってもベイ印、ごちそーさまでした。
観なくてもいい映画と吐き捨てるのは簡単ですが結構気合の入ったパルクールもふんだんにあるし、かなり斬新なカットで彩られたド派手なアクションは楽しいのでこれが劇場公開のないネトフリオリジナルっていうのはなんか時代やなぁって感じます。
キャストで一番輝いてるのは何と言ってもメラニー・ロラン。なんでこんなとこにいるの?と首を傾げるくらい美しい。多分自分の監督作のための資金作りちゃうのかなあ。あとはベン・ハーディ。『ボヘミアン・ラプソディ』でのロジャー・テイラーが衝撃的にキュートでしたが、本作ではキュートなイケメンをより一層発揮しているので面食いの皆さんには彼だけ見つめていれば満足頂けるのかも知れません。
とにかくまあまあです、まあまあ。