「何が言いたいか分かり易いヤツよりこういう話が好き」影裏 asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
何が言いたいか分かり易いヤツよりこういう話が好き
出演者が端々に至るまで豪華。
松田兄の、こういう存在感は稀有だし
綾野剛の、小心者な一般的一般人という風貌もいい。
サプライズ的な中村倫也は、もう声でわかるし
安田顕の兄もいい。
岩手
震災に隠れて、全く別の土地で別人として生きているに違いない男
それでも彼本来の生き方は変わるはずもなく
だがそこが居心地悪ければ他の土地に行くのみ
そんな部分は描かれてはいないんだけれど
容易に想像がつく。
ぬらりと生きて、排水溝のような場所を通っては
時に人の生活圏に現れる。
綾野剛演じる男は、確かに
岩手での生活の中で彼との関わりが光明であったわけで
引っ張られて時に不快でも、彼の言う
「身ひとつで来いよ」の温かさは彼の体中に染み渡る。
寒さに凍え冷え切った体に飲む汁物椀のように。
難解といわれる文学作品を
ここまで豪華なメンバーで撮れるのなら アリ。
そういう出来だったと思った。
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