劇場公開日 2021年6月11日

「初見さん集まれ!(この作品を楽しむには?)」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 初心者ガノタさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0初見さん集まれ!(この作品を楽しむには?)

2022年5月1日
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楽しい

興奮

知的

 まず最初に言うと、この映画は初見さんにも優しいです!
 次に言うと、ガンダム作品を知っていれば、より面白くなります!

 この映画を見るにあたって必要な能力は、大きく分けて四つ。それぞれに優先度を付けるなら、こうなります!

最優先→作品を"単純に"楽しむ心

第二位→作品を"深く"楽しむ理解力

第三位→主人公の生い立ちの知識

第四位→ガンダムシリーズ(特に、宇宙世紀)における、歴史の知識

 ここでは、順を追って説明します!

☆単純に楽しむ!

 この作品には、二種類の楽しみ方があると、自分の中では思ってます。
 それは、「ロボットアニメとしてのエンタメ」と「重厚な心理描写」です。

 では、一体どちらが大切なのか。答えは考えるまでもありません。エンタメです!
 ストーリーはそれとなく理解し、あとはロボットの戦闘を楽しむ!それが第一です!

 「ガンダム慣れ」している視聴者の人は先頭以外の面。例えば主人公の葛藤や理想、各キャラの正義などに目線が行きます。
 しかしそれは、「ガンダム履修者」の思考であり、まずはロボットアニメとして楽しんでください!

 宇宙世紀・ジオン・マンハンター・スペースノイド・棄民政策・・・様々な単語が飛び交いますが、まずは"全無視"しましょう!

「宇宙に住むのは貧しい人で、不当な差別を受けている。そんな人たちが国を作り、地球と戦争をした。そして負け、さらに弾圧された。」

 ここまで分かれば、おおまかなストーリーは入って来ますので、ご安心ください!
 まずはエンジョイ!これが第一!

☆深く理解する

「ロボットが戦うだけじゃ不満だ!人間ドラマが見たいんだ!」と言う人にも、この作品はオススメです!

 主人公のハサウェイ(テロリストのリーダー)は、地球連邦政府の転覆を狙う男です。
 政府から見れば凶悪犯罪者であり、明確な反逆者です。

 しかしこれは、政府からの目線。
 政府より弾圧され、宇宙へと強制移民させられた人にとって、マフティー(テログループ)は希望の星でもあります。

 人々は何を望み、主人公が何を目指し、周りの人物は何を思っているのか。
 そういった深い"心の動き"を、セリフだけでなく"映像"からも読み取る力。
 それがあれば、この映画のストーリーは、より鮮明に理解できるでしょう。

 必要なのは予備知識でも、ガンダムの予習でもありません。
 本当に大切なのは理解力であり、知識は"補助"でしかないのです。

☆主人公の過去

 理解力があれば、ストーリーは理解出来ます。しかし残念ながら、キャラの深くを知る事は難しいでしょう。

 ですが、初見の方もご安心下さい!
 この作品に出てくる過去作キャラは、"主人公のみ"です!他は、(今のとこら)一人残らず新キャラです!

 主人公の過去は「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」という、二時間の映画を見れば全て分かります。
 古い映画だと思われがちですが、手書き作画のクォリティは、"ジブリ"にも引けを取りません!
 今から見ても神作画であると、胸を張って言えます!なので、そこはご安心下さい!

☆ガンダム予習に関して

 結論から言うと、映画単体として見るなら全く必要ありません!

 先ほども申し上げたように、今作は初見の方にも無理なく理解出来る作りとなっています。
 ナレーションが教えてくれる訳ではありませんが、映像とセリフが全てを物語っています。

 予習が必要なのは二つの場合だけです!

1.理解力に自信がない
2.ファンサービスを楽しみたい

 理解力に関しては、何度も話した通りです。
 あくまで補助であり、知っていたら簡単であると言う程度。算数で言うところの"筆算"です。
 あれば余裕ですが、無くても普通に分かります。

 ファンサービス、これは長く続くシリーズでは当然とも言える物です。
 ガンダムは40年の歴史があり、多くのファンを抱える作品群。だからこそ、旧来のファンに向けた演出もあります。
 しかし実際のところ・・・殆ど無い!(笑)

 いい意味で、ファンサービスは殆ど無いです!これはつまり、初見の人でも理解出来るサービスという事です!

 有名なセリフに、「身構えているときには、死神は来ないものだ。」という物があります。
 ですがこれは、シリーズ未見でも"アムロ・レイ"が喋ったと分かる物です。
 そうでなくても、"古谷徹"さんのイケボが聞けるだけでも、アニメファンには嬉しいと思います。

 本当に、その程度のファンサービスです!
 細かいところはあっても、決して作品の中枢には絡んで来ません!なので、どうかご安心下さい!

余談・富野節について

 はい。何と言えば良いのか分かりませんが、ファンでも理解出来ません。

 一応解説すると、本作には"富野由悠季"監督(原作者)に対するリスペクトとして、彼特有の言い回しが使われる場面があります。

「パターンしか喋らないんだ。」とか、「情けない男なのだな!」とかです。
 ハッキリ言って、これは理解出来なくて大丈夫です。

 ファンサービスは少ないと言いましたが、ある意味ではこの"富野節"こそが最大のファンサかも知れません。
 それなのに、ファンにすら理解出来ないことがあります。

 ここは割り切って、雰囲気を楽しみましょう!
 おそらく製作側も、ムードを作るために入れている意味も大きいので、変に考えて頭を悩ます必要はありません!

☆総括

 初見でも問題なし!不安なら予習しよう!
 それが、本作への自分なりの評価です。

 音楽・作画・CG・ストーリー。どれをとっても、今年のアニメ映画で最高レベルの出来です。
 そこに関しては、何の心配もいりません!

「ガンダムって難しいやつだよね・・・。」という、意見はよく分かります!
 しかし、実際は単なるロボットアニメです!テーマ性があるとはいえ、頭を空っぽにするのも大切です!

 案ずるより観るが易し!
 小難しく予習するよりも、手っ取り早く見ちゃいましょう!
 強いて言うなら、逆襲のシャアだけで十分です!

初心者ガノタ