「UK」ふたりの女王 メアリーとエリザベス Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
UK
現在の英国王室の源流となる話。
史実としてのメアリーの人生そのものが起伏に富んでいて面白いのだが、それをコンパクトに、メアリーそのものの人物像にストーリーの焦点を合わせながら進む。「誰が誰だか分からなくなる」とか、「これって結局、誰の話をしたいの?」というような大河物にありがちな状況を避けている。
中心に御座するシアーシャの存在感としなやかな演技。かなり自己主張が強かったらしいメアリーを、闊達で魅力的な女性像へと投影している。対局にあるエリザベス、自分を殺して役割に徹する。マーゴット自体が自分の魅力を封印しているようでもある。女性としての生き方について問題を投げかける展開である。
そして話は、当代を代表する若手女優の対峙シーンへと向かう。待ってましたとこっちが緊張する。そして期待を裏切らぬお芝居に熱くなる。大満足でお腹いっぱい。
素晴らしい衣裳や照明、厳しいスコットランドの風景など、手抜かりのない緻密に仕上がった出来映え。歴史物として敬遠されがちかもしれないが、あらゆる面において映画としての完成度がかなり高い作品である。
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