「色々と中途半端(ジャズ一本槍で飽きる)」ばるぼら 立春さんの映画レビュー(感想・評価)
色々と中途半端(ジャズ一本槍で飽きる)
レビューは書いたことがないので備忘録として素人個人の感想を記します。
原作は読んでいたので興味はあったが、チラシのビジュアル(原作絵を再現した髪型、70年代のコスプレ?)が全くイケてなく出来映えに不安を覚える。
オープニングで、アニメーションの植物が蔓を伸ばしスタッフ名が霞むほど茂っていく様は、密かに芽吹いた欲望が人生を絡めとり破滅させる象徴にも感じられて、これから始まる映画に期待を持った。ジャズの導入も月並みだがまぁよい感じ。
しかし、始まったら違和感の連続で全く物語に入れない。現代の新宿に70年代のフーテン女(にしては声も態度も可愛い過ぎるもっと自堕落なアバズレ感が欲しかった)がタイムスリップしてきたのか、現代の通行人や街角と相容れない(それはそれで人間と異なる存在と表現してるつもりなのかな?)
原作の設定のままの部分(ばるぼらの容姿特にぼろっぼろで汚れたトレンチ等)が現代の都会的な街(美倉のマンション)とちぐはぐだし、唐突に取り入れられた現代のヒップホップ文化(ばるぼらと暮らし始めて趣味が変わった美倉宅の壁一面に現れるグラフィティ(タギング)や、ばるぼらが次に居着いたアーティスト)も何でそれ入れちゃったの??と疑問符だらけ。
美倉宅の壁画、耳無し芳一の経文かよ、指示を受けて製作されたライターさん方が気の毒。ばるぼらが気に入ったはずの新進気鋭のアーティスト(グラフィティと思ったがラッパーかダンサーか?)も、それらしさが描かれず、新しい文化ぽいでしょ?と適当に取り入れた感がしらける。
音楽や効果音も無難で生彩に欠ける。こういう場面はこうでしょと、全編ウッド・ベース主体のソリッドなジャズばかりで飽きてくる。
確かに焦燥や不安、奇妙な出来事続きの場面には定番なんでしょう。が、原作どおり舞台を70年代アングラ設定で作るならともかく、今の日本を背景に物語を紡ぐならばもっとジャズ以外の選択肢もあったんじゃないですかね?
その方が時代錯誤容姿のばるぼらの話も舞台となる今の新宿の街に馴染む(かも知れない)し、物語にもメリハリがついてジャズパートも活きたような気がする。
大多数の皆さんの仰る「美しい」「エロス」は、自分としては
「美しい」は、まぁたま~に
「エロス」は、特に言うほど感じられなかった。
水中でのキス抱擁シーンとか、散々いろんな映画でも使われてて目新しくないし…
全般的に期待ハズレでした。
ただ、鑑賞前にチラシのビジュアルでこりゃヒドイと思った、渡辺えりさんのムネーモシュネーのあの造形が、本編では日常にある異次元ぽさを醸し出し意外にもハマっていたし、演技にゾクリとした。流石ベテラン女優