「【”デカダンス風味”が横溢する、幻想的で、背徳的だが、美しくも儚き作品。】」ばるぼら NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”デカダンス風味”が横溢する、幻想的で、背徳的だが、美しくも儚き作品。】
ーベストセラー作家、美倉(稲垣吾郎)が新宿駅の地下通路で塵芥の様に、寝転がっていた”ばるぼら”(二階堂ふみ)の姿に目を止め、ヴェルレーヌの詩を口にする彼女と、”詩の会話を交わし”瀟洒な自宅マンションに連れ帰る所から、物語は始まる。-
■印象的なシーン
・上記の二人の出会いのシーン。
ヴェルレーヌの詩を諳んじている”ばるぼら”は文学の知性、素養を身に備えているが、耽美的で、刹那的で、背徳的で、快楽的な思想、性癖も併せ持っている事が、分かる。
それは、美倉も同じである。
-同族愛か・・。似た匂いを感じたのか・・。-
・美倉がどんどん、”ばるぼら”に耽溺していく様。
”愛は、血と身体で交わすもの”と言う谷崎潤一郎の言葉の如く、美倉は幻想的でエロティックな想いに駆られていく・・。
-片山萌美さんが演じた、マネキン美女の物凄いエロティック・オーラに驚く・・。-
・”ばるぼら”を演じた二階堂ふみさんが、途中から”ばるぼら”そのものに見えてしまう・・。
カールした金髪と、あの”俺・・”と言う口調。そして、エロティシズム溢れる美倉との絡みのシーンの数々。
-現実離れしたシーンの数々に”目がくらくら”する・・。ー
■突然、死を迎えた”ばるぼら”が全裸で、山中の廃屋のソファーに座っている姿。
瞬き一つせず、”死”を演じる二階堂ふみさんの、凄みを持った美しさ・・。
ー 不謹慎であるが、あんなに美しい死体の画を映画で観たのは、トム・フォード監督の「ノクターナル・アニマルズ」の中で描かれた”美しき背面死体”の姿以来である・・。ー
<映像は、美しく、エロティックで、退廃的で・・・。
ベストセラー作家が一人の不可思議な少女と出会ったために、破滅していく様を幻想的に描いた作品。>
■蛇足
・稲垣吾郎さん、二階堂ふみさん、手塚眞監督の姿が上映終了後に、“中継”された。
そこで、語られた数々の事は面白かった。
が、一番驚いたのは、何故か籤引きを夫々の方が行い、稲垣吾郎さんが引いた籤に書いてあった劇場名であった・・。その紙に書かれていた劇場は
”伏見ミリオン座”
あんなことってあるのだなあ・・。