サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所のレビュー・感想・評価
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ローズおばさん=柴田理恵がきつい
あれ、もう終わり?と感じるほど短く、サクサク楽しめる作品でした。父親を亡くした青年ユリシーズがゲイであることを徐々に自覚して、サタデーチャーチのグループに誘われるまま教会のイベントに参加する。
母親アマラは仕事が忙しく、伯母であるローズに子供たちの世話を頼むのだが、このローズが女装癖、ゲイを全く許さないタイプのおばさん。弟のエイブに至っては兄の性癖を学校でバラしてユリシーズはイジメに遭ってしまう。疎外感を感じるがまま家でをしてホームレス支援所に飛び込んだ。土曜日にしか開かれない会合だったため、平日は放浪、一人悩む日々・・・
ミュージカルの小品といってしまえばそれまでだが、LGBTを扱った作品としては珍しい形。しかし、実話を基にしてあるだけあって、伝わってくる熱量も違う。売春なんかはいけないことだと思っていたのに、ユリシーズは金もなく、つい裕福な男に体を許してしまうのだ。それでも、仲間たちは暖かく迎えてくれるし、住む家も提供するなどと慰めてくれる。「母に会いたい」。やっぱり家庭が大事なんだ。ローズおばさんの言うことなんか聞くもんか!という悩める青年像は居場所を求めてたんだね。
いきなり歌いだすというミュージカルが苦手な人は無理だろうけど、違和感のない方だったら軽く楽しめるはず。残念なのはキャッチーな曲がなかったことくらい。音楽は全然残らなかった。一曲でもキラーソングがあれば・・・
自信はそこから生まれる
どこでも受け入れられないLGBTQ+の若人はどこでどうして青春を過ごすのだろう。14歳のユーリシーズ(Luka Kain)は家庭にも、学校にも自分が安心して過ごせる場所がない。一歩、ホームレスになって、路上に出れば、年配の行きずりの関係を求めているLGBTQ+の餌食になってしまう。どこで人との交流を深めたり、好きなことをしたり、恋愛を経験する場所があるだろうか。LGBTQ+じゃあない人のように。幸いにも(?)ユーリシーズは自分のジェンダーについて迷いがないのでそれだけでも本人は助かっていると思う。
まず、この映画は私の教会の宗派の関係の話かと思った。いいえ、ある地域で(風景や公共交通機関から察するとニュヨーク)は教会の土曜日を特別な催しに使っているようだ。毎週土曜日に仲間が集まり、会話をしたり、歌を歌ったり、ダンスをしたり、憩いのひと時を過ごせるという場所。それに、家族から受け入れられず追い出され、行き場のない人があつまるところでもある。ここではLGBTQ+のアクティビストが営む、憩いの館としてこの映画で設定されている。映画をみてからこの場所を調べたら、ニューヨークのグリニッジビレッジ教会らしい(?)。マンハッタンのChristopher Street PierでSatuday Churchのメンバーに声をかけられで、この教会に通うようになったようだ。
ここがあったからこそ、封建的な家庭で育ったユーレシアスが心から休める場所、自分でいられる場所、それだけでなく、理解のない人から逃げられる場所だった。この逃げられる場所で、成長して行けることが、人生を歩んでいくのに自信につながって明るく活発になったことはいいことだ。ユーレシアスは父親が戦死してから、家族の男としての役割を継ぐ人となった(今でも、伝統的な家庭ではこういう意識がある)こういう家庭で育つと、自分を人間として扱われず、伝統的な男として扱われる。また家族全員の意識が封建的なら、自分のジェンダーに迷っているユーレシアスにはますます行き場がない。おばさんの言葉、You are a man. Start acting like one。おばさんはユーリシーズが男かどうか決める権利はないよ。おばさんの言葉に苛立ちを覚えたけど、悲しいことにこんなことは実際日常茶飯事だと思う。
でも、最後には素晴らしい結末が待っている。
だれでもだけど、自分が好きで自分に自信が持て安心できる居場所を見つけることは大事。そして、そこにいたい人はそこにいた方がいい。そこが心地良くなったら、冒険したい人はその心地よいところから出た方が人間がもっと成長できる。でも、まず自分が安心できる場所を見つけなきゃ。
この映画が好きだったかと言われると、『はい』と言えないところがある。うまく説明できないけど、なんとなくこじつけのような気がして、、これ以上コメントができない。
LGBTの若き人々の結束力が魅力的
テーマは、現代社会の中でも重要なモノ。ストーリー展開も宜しい。
「土曜の夜の教会」の存在も知ることが出来た。
ただ、ミュージカル調に仕上げた作品のレベルが合わなかった。
又、お若い俳優さん達が多かったが、演者としての魅力を余り感じられなかった。作品としての薄さがどうしても気になってしまった。
こういう作品もあるのかもしれない。
<2019年2月30日 劇場にて鑑賞>
いい作品でした。
理解のないおばの態度も、理解できない弟や同級生や子供を愛する母親も、どれもわかる。素敵な仲間に出会えてよかったと思う。でも、そんな運にも出会えずに押さえ付けられている人も多いんだろうな。
美しい家族愛
お母さんの愛がとても大きくて素敵でした。
ミュージカル映画と勘違いしていたら少し物足りませんでしたが、物語としては素敵。
マイノリティの少年の家族や友人との葛藤と、何より自身との苦悩と葛藤と成長が、一つの救済の場で昇華されていき、最後にすべてを受け止めてくれた母の愛の深さが、ありのままの自分でいることの戸惑いを後押ししてくれる。。美しい家族愛の映画でした。素敵でした。
もっと見たい
土曜の夜の教会でLGBTQの支援をしている団体に主人公が出会って本当の自分になる話。
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題材も良いし、映像も綺麗だし、ミュージカルも悪くない。何より出てくる人が全部黒人のミュージカルだから新鮮。なのに短いんだよね。
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話も母親の理解を得て、これからって時に終わっちゃうし、肝心な主人公のドラァグクイーンのお披露目も良いところで終わる。
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なのに主人公とイケメンくんのイチャイチャはしっかりある。でもその2人の関係が始まるのも早すぎるんだよね(笑)そもそもイケメンくんの存在が私には謎すぎるうちにもう好きになってるし。
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さらに2人が結ばれて次のシーンにはもう君なしでは生きられないって歌い始めるし。もう君なしで生きられないのか!?早すぎるぞ!ってなった(笑).
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2人がキスした後に主人公がのぼっていく階段にさりげなく花びら散りばめられてあるのとかすごいオシャレで良い演出だったのにな!.
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黒人のイケメンってよくわからないんだけどこの彼氏は初めてイケメンだと思ったなぁ。
アメリカって遅れてる?
これだけ世の中が「差別反対」とか「LGBT理解」を叫んでいて、しかも発信はアメリカが多いように感じてたのに、今さら?な。
日本は寛容な社会なのかな。そんなにあからさまに拒否反応するかな。そう考えると、まだまだ社会は厳しいんだな、異質なものに。
冒頭のシーンで、ユリシーズの美しさに圧倒されて、もう彼がどうであれ美しいものを見たい!という欲求のみで、キュンキュンしてました(笑)
ホントにキレイな男の子です。
悩みを分かち合ってくれる仲間と出会えたのは何よりだし、素敵なお母さんでよかった〜
見慣れたその道を踏み越える勇気はただ美しい
ポスタービジュアルに惹かれたのと、LGBTQの作品はできるだけ観たいと思って鑑賞。
最初に批判的な意見を言ってしまうと、ミュージカルとしては正直あんまりグッと来なくて、もう少し歌やダンスのシーンが多くても良かったかも。
ミュージカルともストレートプレイとも言えない微妙なバランスの印象。終わり方もちょっと唐突すぎたような…
ただコンテンポラリーダンスやヴォーグが多く、ダンサーの方々のキレはとても良くて格好良かった!
それから、邦題詐欺あるあるシリーズがまた増えてしまってる…原題の”Saturday Church”で良かったのではないか。
「ナイト」をつけたのはわかりやすさを狙ってるのだろうが、副題の夢を歌うというのはユリシーズの物語からすると?って感じ。
そもそも彼が望んでるのは歌うことではない。自分を解き放つとか、ほんとの自分を認めてほしいとか、その表れとしてラストシーンのランウェイがあるのだとしたら、なおさらしっくりこない。
でも、ユリシーズの心情表現の細やかさはとても良かった。花びらと信号の二つだけで殆どわかる。
冒頭では枝を揺すって無残に落ちる白い花。そこから、仲間たちに出会い、恋をして、本当の自分を掴んでゆくうちに花びらが色づいてゆく。
特に初めてキスをした後、床にカラフルな花びらが敷き詰められた階段を上っていくシーンが、さりげなくとも美しかった。
ホームレス収容所でのミュージカルシーンでもその花びらが静かに人生の新たな出発を応援しているよう。
また、最初に仲間たちに出会う時に、赤信号を無視して向こう岸に渡っていくシーンが印象的だった。
同じ横断歩道でも青信号なのに渡れない時も出てきていたし、見慣れたその道を踏み越えるという行為にどれだけの勇気が必要だったかと思いを馳せた。
その他にも「クローゼット」を開けてヒールを履くなんてとてもわかりやすい表現だったし、何より仲間となったお兄さんお姉さん方がみんな綺麗で、自分を貫いていて格好良かった。
もちろんみんな過去があって、沢山傷ついていて。それでも自分らしさを自ら手に入れようと歩みを止めなかったその力強さが、内面から滲み出ているようだった。
ラストシーンのユリシーズも、スタイルの良さや黒い肌にメイクやヒールが際立っていて、とても美しくて。
これからどんどん綺麗になってほしいと思った。その痛みはきっと自分をいつか支えてくれる。
素敵な母親と仲間
LGBTや人種差別などは昔から沢山ある
いろんな辛いことあっても、結局自分の道は自分で切り開くしかない
そして人生の節々に助けてくれた人や導いてくれた人には感謝をする…
主人公の母親が「一度きりの人生、自分に素直に生きて」(記憶ですが)ってカッコ良いし、サタデーナイトチャーチで出逢った人々も凄く自分らしく生きてて、自分のスタイルを持っててイイですね
自分以外の人を変えようなんてナンセンス
本当の優しさって、正しい事を教えるとか間違いを直すとかじゃなく、その人を認めて受け入れるだけでいい
居場所を求める魂
ニューヨークのLGBTQ支援プログラム「サタデーナイト・チャーチ」の一例を描いた、生々しい実話ベースの物語。
マイルドに表現するためか、ミュージカル調。
私はLGBTQ方向については知識は少ないけれど。
マイノリティの「自分がいることを、認めてくれよ」という心の叫びは理解できるのですよ。
誰でも、仕事でも生活でも家族からでも、認められるとか、必要とされるとか、日常のささやかな「居場所」って求めるもんじゃないですか?
なのに、マイノリティって、「お前らは異常でいてはおかしい」って決め付けられ、迫害されやすいじゃないですか?
そのあたりの残酷さが、リアルすぎて心が痛くなりつつ。
「いないことにするな」「存在を否定するな」というメッセージ性を感じ取りました。
多様性を認めさえすれば、みんな幸せになれるといいのにね。
重いテーマを軽やかに!
「完璧って何?」「普通って何?」「自分に正直に生きるってなぜ大変なの?」投げかけられるテーマは重い。友人としてどう答えたらいいの?家族としてだったら?
それらを、ミュージカル風に描くことで、軽やかに。
そう、ありのままを受け入れることで、みんなが軽やかになれそう。
一昔前の話かと思ったら現代の話だった。 リアルではあるやりとりなの...
一昔前の話かと思ったら現代の話だった。
リアルではあるやりとりなのだろうけど、映画として描くときにもう一つ社会的な視点は欲しいかな。
おばさんの、黒人でゲイなんて人生詰んだも同然発言だって、彼女にそう思わせた社会背景をひとシーン入れるだけで深みが増す。
笑っちゃうくらい周りがステレオタイプの差別主義。母親だけは違う感性を持っていていいんじゃないかな。
差別もいじめも主人公を追い詰める道具にしかなってない印象。
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