「うん なかなか面白い」マッスル 踊る稲妻 ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
うん なかなか面白い
が、長い…。
インドに居ながらインド映画を初めてギブアップなく最後まで通して鑑賞。
私がいつもインド映画で苦戦するのがその尺の長さ。ハリポタの後半の作品とか、ダークナイトとかロードオブザリングの王の帰還といった比較的ハリウッドが気合を入れて作った大作でさえ、尺が長いとダレてしまう私が、3時間を超すインド映画を通して観れるか、それが長年インド映画を敬遠していた一番の理由。
ただ、ただ今インド最大のお祭りDhiwari期間ということもあって、食わず嫌いはいけません、と遂に取り組んでみた次第。
イントロ長すぎましたね。
本作は、私が住んでいるタミルナドゥ州で製作された映画で、結構各州でそれぞれ特色があったり洗練され度合いも違ったりする、らしい(初心者なもんで…)。
タミル映画はまだ多少泥臭さというか、荒っぽさはあると言われているみたい。
さて、肝心の映画だけど、うん、ガッチリとインド映画のお作法は踏まえていて、何故コイツ?主人公、ビックリするほど美人なヒロイン、恋愛ありバトルありカーチェイスあり、さらにお約束の歌ありダンスありベタな笑い要素ありのザ・インド映画。
ストーリーはインド版きんに君が突然訪れたチャンスを掴んで憧れの女優さんと懇ろになるも、その都度都度にいろんな人の恨みを買い、しまいにはその人たちに不幸のどん底に叩き落される。そこから立ち直れるのか、きんに君!という話。
映画は国の事情を反映するとはよく言ったもので、インドの今がたくさん詰まっている。
スラムの若者が高貴なクラスの女優さんと恋に落ちる夢っぽいパートとか、その女優さんの純潔を疑って結婚相手が見つからない妙なリアルさとか、住んでいて身近に感じる分、興味深かった。
インド映画と言えばキレキレダンス、と思われるかもしれないけど、実はダンスというより歌が重要っぽい。実際この映画でもダンスというより歌パートにどえらい力が注がれていて、歌パート始まるともう問答無用で、はい、フルコーラス聴いてもらいますね、というシステムになっているらしい。
ただ、じゃあつまらんのかと言うと映像の方もめちゃんこ気合入れていて、本作でも大掛かりな中国(ホントに中国だったのかな?)ロケでのクレーンアクションだったり、極彩色の鮮やかなセットだったり、ブルーにこだわったロケーションでの歌とダンスだったりと多種多彩。
かなりビビッド目だけど、色遣いは本当に綺麗な映画だった。
考えてみれば、落下の王国の監督さんターセム・シンさんはインド人だった気が。ヒンドゥーのお寺なんかも結構色鮮やかなので、これもインドならではなんだろうな、と思う。
ストーリーにはいろいろ思うところはある。それはええのか?と思うところもあるけどまあそこは物語なので。歌パートだけでも見る価値ありとよく言われるインド映画の一端を見た気がした。ぶっ通してインドワールドに浸るもよし、真ん中あたりでブレイク!って入るので、そこで分けて観るもよし。ただ受け付けない人も一定数は居ると思うけど、とりあえず観てみて入り込めるかお試しすることをお勧めする。
途中、全く唐突に日本のCMが流れてくるのでご注目。まさかインド映画で佐々木希が踊ってる姿が観れるなんて思っていなくて、しかもそれが日本と全く関係ないシーンなので思いっきりズッコケた。