マッスル 踊る稲妻

解説

「ロボット」のシャンカール監督によるインド製エンタテインメント大作。チェンナイの下町で暮らすボディビルダーのリンゲーサンは、CM女王でスーパーモデルのディヤーに憧れていた。ある日、彼は地元のボディビル大会で優勝したことをきっかけに、ローカルCMに出演する。一方、ディヤーはCMの共演相手ジョンからのあからさまな誘いを断ったことで仕事を妨害されるようになり、新たな相手役としてリンゲーサンを指名。彼は瞬く間に大スターとなり、ディヤーも彼の純粋さに惹かれていく。やがて2人は婚約するが、リンゲーサンは何者かに恐ろしい薬を投与され、醜い姿に変貌してしまう。リンゲーサンを「神さまがくれた娘」のビクラム、ディヤーを「ロボット2.0」のエイミー・ジャクソンがそれぞれ演じた。「スラムドッグ$ミリオネア」のA・R・ラフマーンが音楽を担当。

2015年製作/188分/インド
原題:i

スタッフ・キャスト

監督
製作
D・ラメシュ・バブ
ビル・チャン
ナラタジャン・ラミジ
ビスワナサン・ラビチャンドロン
アーシー・ビディープ
フリーマン・チャン
脚本
シャンカール
音楽
A・R・ラフマーン
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映画レビュー

4.5純愛ものとして最高のインド映画!

2024年1月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

それは、ある休日の昼下がりのことだ。馴染みのレンタル店でアクションの棚を何の気なしに物色していた私の目に、アクション映画に似つかわしくないピンク色が飛び込んできた。
私の手は何かに吸い寄せられるようにそのピンク色のタイトルを手に取った。それは白昼夢のように不思議な体験だった。
すでに借りていくものは決定済み。棚を見ていたのもほとんど眺める程度の流し見。
私の意志とは関係なく、勝手に手が動いているような奇妙な感覚。
DVDを手に取った時、タイトルの文字を認識していなかったと言って良いだろう。

何か強烈な磁場のようなものが私を操っていたとしか思えない。無意識の世界からの誘い、大いなる意志の介在した出会い。
ふと目が覚めたような感覚を覚えて、少し慌てながら手元を見た。
そこにはこう書かれていた。「マッスル 踊る稲妻」と。何コレ?!
とりあえず、監督シャンカール・音楽A.R.ラフーマンというコンビを信用してレンタル。帰宅して予告編を観ても、どんな映画かサッパリわからん!ホント、何コレ?!

ストーリーの軸は2つで、純愛ラブストーリーと謎の男によるサスペンス。
ボディビルダーのリーゲンサンは、モデルのディヤーに夢中で、彼女の宣伝する商品ならブラでも生理用品でも購入するほど。
ライバルの露骨な脅迫にも怯まず地区大会で優勝したリーゲンサンは、セクハラ被害の為窮地に陥ったディヤーからCM撮影のパートナーをオファーされる。
彼女に夢中なあまり、体に触れるような演技は出来ず、ディヤーのキャリアは風前の灯。
「良いCMを撮影するために、リーゲンサンに相思相愛だと思わせろ!」という監督のアドバイスに良心の呵責を感じつつも従うディヤー。有頂天になり彼女ともっと接近しようとするリーゲンサン。
ここにトップモデルの座を奪われたディヤーへのセクハラ男・ジョンと、リーゲンサンに好意を寄せるトランスジェンダーのスタイリスト・オズマも絡んで、笑いあり、アクションありのラブパートが展開される。

一方で、フードを被った醜悪な容姿の男が、ディヤーとおぼしき花嫁を拉致するシーンが冒頭にある。こいつは一体何者なのか?
時間軸がいじられ、フード男が暗躍するストーリーと、リーゲンサンとディヤーのラブストーリーがいつ交差するのか、興味深い作りだ。

不思議な体験をしたから大袈裟に言うわけではないが、ラブストーリーとして最高だった!
とにかく映像への並々ならぬこだわりが感じられ、幻想的でクール!
特に中国でのCMロケシーンは、主演の二人が赤・緑・青と統一した色相のコントラストの中で舞うように動き、華やかで美しい。
ディヤーへのリーゲンサンの愛は深く、彼は本当に純粋で、相思相愛演技に浮かれたリーゲンサンを観ていると、むしろ切なくなるくらいだ。
謎のフード男の正体とか、フード男の復讐劇より、恋愛パートに夢中だった。とにかく、リーゲンサンに幸せになって欲しい!エンディング前など、本気で祈ったものだ。

率直なところ、歌は上手いけど「ロボット」みたいな印象的な楽曲はなかった。しかし、ダンスシーンの全てが豪華絢爛で、リーゲンサンがディヤーに夢中な事がハッキリ伝わる映像表現は完璧。
インド映画の神さまが、この作品になかなか気づけなかった私に手を差し伸べてくれた。そんな逸品だ。

それにしても、邦題はもうちょっと何とかならなかったのか。

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つとみ

3.5うん なかなか面白い

2023年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

が、長い…。
インドに居ながらインド映画を初めてギブアップなく最後まで通して鑑賞。
私がいつもインド映画で苦戦するのがその尺の長さ。ハリポタの後半の作品とか、ダークナイトとかロードオブザリングの王の帰還といった比較的ハリウッドが気合を入れて作った大作でさえ、尺が長いとダレてしまう私が、3時間を超すインド映画を通して観れるか、それが長年インド映画を敬遠していた一番の理由。
ただ、ただ今インド最大のお祭りDhiwari期間ということもあって、食わず嫌いはいけません、と遂に取り組んでみた次第。

イントロ長すぎましたね。

本作は、私が住んでいるタミルナドゥ州で製作された映画で、結構各州でそれぞれ特色があったり洗練され度合いも違ったりする、らしい(初心者なもんで…)。
タミル映画はまだ多少泥臭さというか、荒っぽさはあると言われているみたい。

さて、肝心の映画だけど、うん、ガッチリとインド映画のお作法は踏まえていて、何故コイツ?主人公、ビックリするほど美人なヒロイン、恋愛ありバトルありカーチェイスあり、さらにお約束の歌ありダンスありベタな笑い要素ありのザ・インド映画。
ストーリーはインド版きんに君が突然訪れたチャンスを掴んで憧れの女優さんと懇ろになるも、その都度都度にいろんな人の恨みを買い、しまいにはその人たちに不幸のどん底に叩き落される。そこから立ち直れるのか、きんに君!という話。

映画は国の事情を反映するとはよく言ったもので、インドの今がたくさん詰まっている。
スラムの若者が高貴なクラスの女優さんと恋に落ちる夢っぽいパートとか、その女優さんの純潔を疑って結婚相手が見つからない妙なリアルさとか、住んでいて身近に感じる分、興味深かった。

インド映画と言えばキレキレダンス、と思われるかもしれないけど、実はダンスというより歌が重要っぽい。実際この映画でもダンスというより歌パートにどえらい力が注がれていて、歌パート始まるともう問答無用で、はい、フルコーラス聴いてもらいますね、というシステムになっているらしい。

ただ、じゃあつまらんのかと言うと映像の方もめちゃんこ気合入れていて、本作でも大掛かりな中国(ホントに中国だったのかな?)ロケでのクレーンアクションだったり、極彩色の鮮やかなセットだったり、ブルーにこだわったロケーションでの歌とダンスだったりと多種多彩。
かなりビビッド目だけど、色遣いは本当に綺麗な映画だった。

考えてみれば、落下の王国の監督さんターセム・シンさんはインド人だった気が。ヒンドゥーのお寺なんかも結構色鮮やかなので、これもインドならではなんだろうな、と思う。

ストーリーにはいろいろ思うところはある。それはええのか?と思うところもあるけどまあそこは物語なので。歌パートだけでも見る価値ありとよく言われるインド映画の一端を見た気がした。ぶっ通してインドワールドに浸るもよし、真ん中あたりでブレイク!って入るので、そこで分けて観るもよし。ただ受け付けない人も一定数は居ると思うけど、とりあえず観てみて入り込めるかお試しすることをお勧めする。

途中、全く唐突に日本のCMが流れてくるのでご注目。まさかインド映画で佐々木希が踊ってる姿が観れるなんて思っていなくて、しかもそれが日本と全く関係ないシーンなので思いっきりズッコケた。

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ハルクマール

4.0邦題もう少しどないかならんかったんか?

2022年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

タイトルからじゃ何この作品?としかなりませんが、インド人が大好きな復讐劇です。
尺が長過ぎるので何度も見ようかと言う気になりにくいですが・・・

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まきぐも

4.0恐ろしくもあり素敵な復讐劇

2019年11月2日
スマートフォンから投稿

恐ろしくもあり素敵な復讐劇
序盤、中盤、終盤と展開が読めなかった。序盤はありきたりの貧困男性とプリンセス的女性とのただの恋物語かと思いきや、終盤でのガラリと展開を変えてダークなお話には恐怖すら覚えた。主人公が受けた仕打ちに対しての復讐モノはいくつか観てきたがやはりあまり後味は良くない。これでハッピーエンドに持っていくのもなんかアレだなぁ。

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yagifuto
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