「B級映画(良い意味で)」オーヴァーロード おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
B級映画(良い意味で)
大戦時、ナチスが秘密裏に不死の兵士を作り出すために、教会の地下で人体実験を行っていたというもの……
おいおい俺はB級映画を間違えて観に来たのか?(歓喜)
このあらすじを見ると、どう考えてもア○イラム作品にしか思えません
ラストに巨大ロボット化したヒトラーが出てきても不思議ではありません
まぁさすがに本格的アサイ○ム作品とはなりませんでしたが、その作品構成はどこか90年代の洋画を彷彿とさせる(良くも悪くも)ものでした
良いところ
・キャラが立っている
序盤を生き残ったキャラはみんな個性があって良かったです。若干テンプレ感はありますが、そこはまぁB級映画らしいといえばらしいのでアリ
・戦争描写への拘り
この映画のメインは戦争ではないはずですが、手を抜いているとは思えません。空挺部隊の話なのとおそらくコスト削減なのか、プライベートライアンみたいな大規模戦闘はありませんがちゃんと描いてます
・実験描写のB級映画っぽいグロさ
体に繋がれた謎の極太チューブとか、謎の袋に入れられて体から血清を抜かれている実験体とか、首と背骨だけになっても生きてるとか、B級好きなら間違いなく大興奮なシーン
・序盤のゾンビ化(?)シーンのおぞましさ
主人公が味方に血清を打ちそのせいでゾンビ化してしまいますが、首が折れてもなおある程度正気を保っていたのは生理的にクるものがありました
・暴力表現への拘り
ドイツ軍将校への拷問はなかなかしつこいぐらいに描写されていました。もちろんこの後の復讐されるシーンへの逆カタルシスを生むためなんでしょうが
・ゾンビが超タフ
ほとんどのゾンビ映画なら頭を撃ち抜かれると死にますけど、この映画では頭を撃ち抜いた程度では死なない。完全に物理的に頭を叩きつぶすか炭化させないと殺せないのは良かった
・わかりやすいラスボス
ゾンビ物って明確なラスボスってほとんどいませんけど、この映画にはザ・ラスボスがいてわかりやすく勧善懲悪になっています。
・熱いラストバトル
バトル描写そのものはそんなに熱くないですが、ラスボスに対抗するために自分もゾンビ化させて戦うのはなかなか熱くさせてくれました。30デイズナイトみたいで好きです
・お約束の爆発シーン
90年代映画のお家芸である爆発オチ
良くないところ
・引っ張りすぎ
ナチスドイツの秘密実験が判明するまでもちょっと長いですが、ゾンビ(?)が本格的に出てくるまでが長い。というか複数のゾンビが出てくるのなんて最後の最後……
・ゾンビがあまり出てこない
上述のように、ゾンビが本格的に出てくるのは本当に終盤なので、他のゾンビ映画みたいに大量のゾンビに囲まれてゾンビパニック! なんてのはありません。ゾンビ映画ではない、と言われればそうなんですけど、見た目のインパクトがそこまで強くないのでもうちょい大量に出てくるとか、いっそ人型から異形化させるとかしてほしかった
・対人戦がほとんど
さんざん書いてますけど、ゾンビはほとんど出てこないので、敵は普通のドイツ軍兵士です。戦争映画ならいいんですけど、これは違うよね?
・ジャンルがアクションものに変化
中盤まではスリラーとかホラーものとしてなかなか上質でしたが、ラスボスが自我を保ってゾンビ化したことでチープ化し、アクション要素が強くなりました。ただこれはB級映画っぽくて良いところと言えなくもないので微妙なところ
・ゾンビ化すると何故人を襲うのか謎
映画内で説明されないしそれらしい描写も無いので、これホントよくわかりません。人の肉を求めるとか、凶暴化するとか、その手の説明は一切なし。ただ不死の兵隊を作る過程の実験体が何故か人を襲ってくるのだ。もちろんすべてのゾンビ物で何故人を襲うのか説明されるわけではないけれど、この映画は厳密にはゾンビじゃないから少しで良いからある程度の説明は欲しかった。せっかく博士っぽいのと会話するチャンスもあったのに
・ドイツという都合のいい存在
もう2020年になろうとしているのに、いまだにナチスドイツを引っ張ってドイツ国そのものを悪役にしている点。あくまで大戦中の史実を映画化とか、一部の将校が勝手にやってるとかならマシなんですが……。この映画を見てドイツの人は何とも思わないのだろうか。もしこれがドイツではなく日本なら自分はかなり胸糞悪い思いをしますね
いろいろ言いましたが、B級映画や90年代映画が好きならそれなりに楽しんで見れる映画だと思います。
自分は結構好きな部類です。