「頭の中がコンピュータ」ANON アノン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
頭の中がコンピュータ
記憶(memory)と記録(record)。どんなに脳が発達して、莫大な量の人生を記録できても記憶に勝ることはない。主人公の第一級刑事サル・フリーランドも元妻クリステンとの間にできた息子の記憶は永遠だと思っていた。人間の頭脳が皆コンピュータのように扱ってるかのように発達し、相手の記録も可視化できたり、通信機器さえ必要のないクラウド上のような世界。便利なようであるが、プライバシーも何もあったもんじゃない。表情も少なく、人間性なんてものもない。
全ての人間の記録を見ることができるため犯罪もない世界のはずだったが、記録・記憶を全て消すハッカーの存在によって殺人事件が未解決となってしまう。その記録を消すハッカーを探し出せれば解決できると、サルは名前の見えないANON(=anonymous)を探し出す。刑事としての記録も消し、株屋としての偽記録を作っておとり捜査をすることに・・・
イーサ、プロキシ、プロトコル、アルゴリズムといったコンピュータ用語が示すように、人間の中身が全てコンピュータ化されている、ユニークな設定。浮気してセックスしたとしても記録さえ消えればバレることがない。しかし、その事実の記憶だけは残っている。過去までは詮索しないというANON(アマンダ・セイフライド)も魅力的だが、人間としての魅力が欠如。そんな女性に惹かれていくエロいサルも面白い。やっぱりクライブ・オーウェンはこうでなくちゃ!
視覚まで乗っ取られたら何もできん!といった感じで、停職を食らったサルもここで目を瞑ればというアナログ思考的な解決策もばかばかしいけど面白い。残念なのはロボットみたいな人間だったためかアクションが少な目で緊張感があまりなかったことだろうか。