「視覚を乗っ取られる世界」ANON アノン mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
視覚を乗っ取られる世界
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アンドリュー・ニコルによるサスペンスタッチのSF。
『ガタカ』もそうでしたが、静かに淡々とストーリーが進んでいき、派手さはあまりありません。映像が美しくクラシカル。主人公の女性も男性も落ち着いた雰囲気があって、時折出てくるラブシーンも何故か、大人おしゃれ。好きな人は好きな映画かも。
『ガタカ』では、遺伝子を操作されてしまった未来社会での主人公の困惑があり、人間の尊厳というメッセージを感じましたが、この映画では人間の記憶がすべて検閲されてしまうという、システム化の行きすぎた情報社会をチクリと批判しているようにも思えました。
視覚を乗っ取られたり、主人公の息子の記憶を消されたり、事故当時の記憶を何度も見せられたり……、サイバー超能力?なのか? 何がどうなってそうなっているのか? やっていることは、すごくて非現実的なんですが、スマホやパソコンでの履歴などを検閲ということを考えれば、わりと身近な問題に感じられます。本来の記憶を消して、別の記憶を埋め込んでみたが、よく見れば違和感があってばれてしまう、というあたりは、パソコンで画像や動画の合成をしている感じ(笑)
犯罪解決に主体を置いたものでないにしても、ラストがもう一つわかりにくかった。
「私の人生を解くアルゴリズムは解析できない」かぁ。
欲を言えば、主演はイーサン・ホークでやってもらえると嬉しかった。
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