「納得の続編」ミスター・ガラス ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
納得の続編
M・ナイト・シャマラン自身の監督作品である「アンブレイカブル」と「スプリット」の世界観を一つにするという面白い試みですが、個人的に大好きな映画で綺麗に完結した「アンブレイカブル」をいじって欲しくないなぁと、少し心配しながら本作を観賞しました。
「アンブレイカブル」はヒーローとヴィランに象徴されるような光と影のような関係性を、普通の人間のドラマに落とし込み、ヒーローの片鱗をチラつかせるような程良く夢を見させてくれる絶妙なブレンドでしたが、
本作「ミスター・ガラス」では、「アンブレイカブル」の主人公達は本当にヒーローなのか?という敢えて自分作品に水を差すような問いかけをしています。
しかし、その問いかけ自体が実はヒーローとしての能力を持つ人達が「もしかしたら自分はヒーローなのでは?」と気付かせないように暗躍しているある勢力の圧力であったというのが終盤で明かされる。
それに気付いたイライジャの反撃は、「アンブレイカブル」ではあまり味わえなかった彼の頭脳戦が堪能できて面白かった。オオサカ・タワーでの"ビーストとデヴィッドの対決"には心踊りましたが、二人の対決が地味なクライマックスで落ち着いてしまったのが少し残念。予算さえあれば実現したのか!?実はそれもイライジャの作戦だったと説明されましたが、そんなこと言わないでクライマックス盛り上げてくれよ!と思ってしまいました笑
「アンブレイカブル」では、あそこまでの奇行に及ぶイライジャの原動力、コミックの世界を信じるあの心は一体どこからくるのか?といった人間描写(掘り下げ)が少し弱いかな〜、と思っていたのですが、本作でちゃんと意味がわかりました。
自分の存在意義とはなんなのか?というイライジャの問いかけ
ヒーローは実在するのか?という映画の問いかけ
その二つが全く同じ質問であったということがクライマックスを観て私は受け取った。そして自分に存在する意味があった。それを証明することこそがイライジャの目的であり、見事彼は勝利した。(ヒーローの可能性を抑え込む組織が存在する時点で、問いかけに答えてしまっているのは取り敢えず置いておく。)
なんだよ完璧な続編じゃないか。
相変わらず、主人公たち(デヴィッド、イライジャ、ケヴィン)の周りの登場人物の描き方は雑だが笑
個人的には満足のいく続編。