「人類皆夫婦(^^)」エセルとアーネスト ふたりの物語 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
人類皆夫婦(^^)
イギリス人も日本人もおんなじ。
ささやかな生活の中に、たくさんの幸せを感じながら生きていることを、このアニメで教えてもらいました。
時は1930年代、牛乳配達員のエセルと、メイドのアーネットの出会いから、物語は始まります。
時代の流れが目まぐるしく動く中、二人の生活も多種多様に変化していく…。
そんな時代の中、変わらない二人の愛がとても素敵でした。
牛乳配達員としての誇りを胸に、配達一筋で働くエセル。
そんな、真面目な彼に時に意見し、時に従い支えながら家庭を守るアーネット。
ヒトラーの独裁制がスタートし、徐々に戦争の影が忍び寄る時代。
しかし、その生き方は実に生き生きと輝いて見えました。
時代は変わっても、市民の生き方は簡単に変わるものではなく、みな慎ましやかに暮らしいる。
これまでイギリス=誇り高い貴族のイメージがありましたが…。
この映画でそんなイメージががらりと変わりました!
こんなにも普通な暮らしをしていたなんて!
この映画で、イギリス人の生活を詳細に学ぶことができました。
お茶や食事の仕方、掃除、洗濯、仕事、進学、子育て、全てにおいて感じたのは、普通であるということ。
日本人と同じように、家電を揃えて仲睦まじく一家団欒を続けている光景。
夫は新聞を見ながらブツブツ文句を垂れ、妻は隣近所に見栄を張りつつ、息子の成長を心配している。
世界共通、どこにでもある光景がこのアニメでもたくさん感じられました。
こういう何気ない日常を描いた作品って、意外に少ない…。
しかも、その描写をアニメで詳細に描いていることにびっくり!
細い線と淡い色合いは、絵本そのもの。
まるで絵本が動いているかのように感じられました。
また、音楽もすごく豪華!
ポールマッカートニー氏が、書き下ろした楽曲がエンドロールに流れるという奇跡。
どうやら、彼はレイモンド氏の作品のファンのようで、この映画の音楽も快く引き受けてくれたとのこと。
素晴らしい画報と、豪華な音楽という、贅沢な仕上がりに感動しっぱなしでした!
今回、試写会の後に林望さんを迎えてのトークイベントがありました。
林さんはイギリスの生活にとても詳しく、その細かな描写がとても緻密に描かれていることを解説してくださいました。
イギリスの階級制度のこと、労働党と保守党のことなど、様々なイギリスの暮らしの仕組みについて分かりやすく話して頂き、より作品の世界を深く理解することができました。
イギリス英語の表現や、生活様式など、興味深いことばかり…。
30分のトークイベントでしたが、もっと色々と話を聞いて痛かったです(^^)
心が優しくなれる絵本を書くことの多いレイモンド氏が、大人向けに描いた今作。
これはきっと、彼が両親のことが大好きだったからこそ、二人の幸せな姿を残しておきたかったのではないでしょうか?
私も、こんな理想の夫婦になれたらいいなと思いました(^^)
今日は本当にとても素敵な作品をありがとうございました!
幸せなひと時でした(^^)