「原作者のあざとさを感じる」10万分の1 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
原作者のあざとさを感じる
難病ものなんだよね。難病に罹った主人公が頑張る姿を見たら絶対に感動するの。本当に感動するのもあるし、「ここで感動しない自分って人間としてどうなの?」っていうのが入って感動するところもあるの。
むしろ病気になる前の主人公のキャラ起てのパートが面白かったな。
嫌なことがあると呪ノートに五七五でそれを書き付けて、それをイケメンに見られちゃうんだけど、それでも『自分でも変な子好きになったなって思うよ』って好きになってもらえる。「私がイケメンに好きって言われた!」って読者は思うよね。
それで嫉妬されてイジメられるんだけど、自分がイジメられてるときは華麗にスルーして、友達が巻き込まれたときは『私はいいけど周りを巻き込まないで!』と怒る。やってみたいよね。そして、この怒りかたなら「私でもできそう!」という気もする。事態収集が難しくなるとイケメン彼氏が救いの手を出して「困ったやつだなあ」みたいにやってくれる。
ここで読者は完全に主人公に感情移入するよねっていうか「私が主人公だ!」になるね。
そして難病を入れてくる。なんなら両親が亡くなっていてお祖父さんに育てられた事情をかぶせてくる。これは泣きます。原作者はそこを解って、計算して書いてるね。
病気に罹ってからのパートは、主人公が困って、主人公が頑張り周りがそれを助けるの繰り返しだから、話としては単調なの。「ここで感動しないと人間としてどうなの?」という気持ちを押さえて、原作者の計算も考慮したりすると、本当に単調な話になるよ。
平祐奈と白濱亜嵐は良かったね。
女性作家が描く思春期男子を見るといつも思うんだけど、性欲がほぼないね。実態はそんなことないと思うの。むしろ性欲が抑えきれなくてなんかやらかしそうな気がする。しかし白濱亜嵐が演じると「うん、そうだね」と納得感あって良かったよ。
優希美青は安定の良さ。まだ高校生もいけるけど、OLの役が観たい。
「平祐奈、演技うまくなったな」とか思いながらボーッと観るのに良い少女漫画原作映画だと思ったよ。