「斉一性の原理」お米とおっぱい。 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
斉一性の原理
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『十二人の怒れる男』は観たことがないが有名な作品なので、そのアウトラインに近い今作は大変興味深い内容であった。テレビの深夜番組で放映されて、“カメ止め”旋風を巻き起こした監督の以前の作品ということだが、とにかく脚本、会話の掛け合いが凝っていて敬意に値する。集団討論に対しての皮肉までの今日の日本、いや世界中の論争の根源を凝縮したような出来映えである。そもそもの仮定の可笑しさや、それぞれのバックボーンが強く滲み出るアクの強い会話の応酬、怒号やそれ以上のエキサイトした暴力(平手打ちだけなのだが)、がかなりのリアリティを含んだ演出で構成されている。展開も波をつけて、凪 と時化がナチュラルに訪れる流れに感嘆する。俳優陣も有名な人が出てくるわけではないので余計な色が付かず、リアリティに多大な貢献である。
今作品をもっと若い時分に鑑賞していたら、そしてキチンとした補完的解説を聴いていたらもっと“民主主義”というものを正しく認識出来ていたかも知れない。学校教材して遜色ない出来である。もし、難色を挙げるとすれば、今作はかなり“男”側の共感が強く出てしまい、女性側の理解が困難との懸念を抱く。心理サスペンスとしての意義は充分伝わっているので、女性側も共感できるような“題材”があればもっと評価が上がるのではないだろうか。とはいえ、あくまでも今作は“娯楽”なのだから、そこまで教育を考える必要も無いわけだなw “自薦の用心棒”に陥っているネット上の輩に是非鑑賞させたい、手痛い一撃を食らわせる出来である。
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