「観ていてつらい」岬の兄妹 おおつさんの映画レビュー(感想・評価)
観ていてつらい
ポンジュノの助監督をされていた監督の作品ということで観たかった映画ですが、公開当初は満員で入れず、公開拡大されてやっと観られました。
観終わった感想はやや露悪的という印象でした。妹に売春をさせて生計を立てているという設定はなかなか受け入れがたいものでした。しかし、ただ単に露悪的というわけではなく、貧困や売春などについて考えさせられます。
監督のインタビューでも、売春がそこまで深い罪として問うことはできるのかという問いかける意図があるようです。
うんこがでなくて段ボールで窓を塞いでいる生活よりも、うんこが出て窓が見える方がマシということでしょうか。考えさせられます。
また、終盤で妹がこれまでの悲惨な状況に対する思いを爆発させるかのように号泣するシーンには胸が痛みます。ここまでで辛さがマックスです。
ただ、ラストのシーンで誰かから電話がかかってきます。他の方の投稿でもありましたが、電話の相手は客の一人である小人症の青年のような気がします。彼も新聞紙で窓を塞いでおり生活が満たされないものであることがうかがえます。
この青年も含めて彼らの未來にほんのわずかに光明が見えるかたちで映画が終了し、少し救われました。
この映画を観終わったあとに実際の上映時間よりも長く感じました。それだけ濃厚でエネルギーに作品だと思います。しかし『葛城事件』もそうでしたが、いい映画だとは思うものの、観ていてつらく、映画好きの人向けだと思いました。
コメントする