「人間への深い愛がある」岬の兄妹 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
人間への深い愛がある
今村昌平の映画のようだ。あけすけに人間の見にくい部分を暴き出すが露悪的ではない、むしろここまで見つめることができること自体に、人間への深い愛情を感じる。綺麗事を吐くの簡単だが、人間には見にくい部分が必ずある。そこに目をつぶって、キレイなものだけ見つめる輩とこの映画の片山監督のように、醜悪さもしっかり見つめる人とどちらが、より人間を愛していると言えば、断然片山監督のが人間を愛していると思う。
困窮する生活、自閉症の妹に売春させる兄、売春の相手も社会の「底辺」にいるような人がほとんどだ。しかし、臭いものに蓋をすべきではない。現実にこういうことは存在している。
2人は貧しいし惨めかもしれない。しかし、不幸かどうかはわからない。人の幸せを勝手に自分のモノサシで測ってはならない。のんきに現代社会を不自由なく生きている人間には、持ちえないモノサシで彼らは生きている。これぞ価値観の多様性である。
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