「あまりお薦めできないが傑作」岬の兄妹 たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりお薦めできないが傑作
観たい映画がたくさんあるのだが、しょうがないので「岬の兄妹」を観た。去年が慎一郎で今年が慎三かよと思う。「カメ止め」と違ってあまり皆さんに薦めたくなる映画では無いのだが、観ずに通り過ぎることが許されない映画なのだ。81年生まれの若い監督である。自前の金で妥協をせずに2年間掛けて作ったというのだが、時代は変わった(良い時代になった)とつくづく思う。フィルムの時代にこんな自主制作映画は絶対に作り得なかったからだ。その意味ではSKIPのDシネを目指してこれからも才能ある監督がどんどん出て来るのだろう。主演の松浦祐也と和田光沙はもちろん良いのだが、撮影(池田直矢)が素晴らしい。冒頭の波止場の風景でまずグッとくるし、真理子が道に転がって泣きわめく二人にず〜っと寄ってく長回しには恐れ入りました。が、浜辺でずっと手持ちでトラックバックしていくカットだけが不満(寄るのはいいのだ。下がっていくとカメラアイを意識してしまうだけ)。間違いなく傑作なのだが、堂々とお薦めできる映画でないことがただただ残念!
コメントする