「このまま終わらないでほしいと願ってしまう」岬の兄妹 もちこさんの映画レビュー(感想・評価)
このまま終わらないでほしいと願ってしまう
あんまり軽く感想も言いにくい映画。
兄や、他の登場人物も、色んな可能性の幅を狭いって認識してて、それを辛いとか悲しいとか感じながら生きてる。
そういう人に、そうでない人の理論で、人として・兄としてっていうところで、正そうとしても、それは偽善でしかなく。映画の最初のシーンで警察官の友人があっさりと言った「わからないよ」の言葉が印象的で、それが兄弟を壁で囲い、そうでない人の理論でいう正しい道から外させる大きな原因の1つでもあるのかなと考えさせられる。
ずっと目の前に壁がある状態というか、窓や扉が少しも手が届きそうと思えない高い場所にある状態というか。前に進めない映画だった。
映画のなかで垣間見れる幸せは、寝ている時の夢や、わずかな可能性の中だけで、すぐに引き戻されて、辛い・悲しいと感じてる現実へ。
妹のまりこの妊娠という事実に、もしかしたらと、兄がわずかな幸せの可能性を感じても、現実としては、障害のある妹の売春の中での妊娠で、それを受け入れてもらうことはできず。
また辛い・悲しい現実へ。
まりこの相手へ芽生えた感情も叶わず、まりこが泣き叫ぶ姿が、兄を責める。
障害がないひと側の普通の考えは、まりこの頭の中にはないから、障害がないひと側の思う幸せは、手に入れることができないのかな、なんでこんなに辛いのかなと感情が連鎖する。
まりこの存在のせいか、そこまで真っ暗闇の映画ではないけども、途方もない映画。
もちろんすっきりすることはなく、終盤を迎えはじめても、まだ終わらないでほしいという気持ちがありました。
ハッピーエンドを望んでた訳ではないですが、幸せでも不幸でも終止符をうってほしいと願ってしまう。
終止符をうたないことが、一番のバットエンドだと思ってしまう映画。