風をつかまえた少年のレビュー・感想・評価
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正統派の描き方だが、感動的
(このレビューは、2019年8月に劇場鑑賞した直後に綴ったレビューです)
アフリカ・マラウイで、干ばつの危機を救った少年の実話。
ということで、よくある感動物語とも思ったのですが、題材のユニークさと、舞台がアフリカで、あまり目にすることがないこともあり、鑑賞してきました。
この映画の舞台は、マラウイというアフリカの国ですが、私は、その存在を知りませんでした。Wikipediaを見ると、アフリカ南東部の日本の約3分の1の大きさの国です。
映画が始まると、「BBC」のロゴが出てきて、このサイトの紹介文にも、制作国に「英」と入っていたのを思い出しました。
これは、マラウイの歴史にも関係があって、1964年に独立した国なのですが、イギリス連邦に加盟しているそうです。その辺りから、イギリスが関係してくるのかな、と。
映画が始まると、登場人物たちが、まず英語で話していることに気づきます。
イギリス共同制作なので、世界市場を狙って、英語で話す設定か、と思ったのですが、そうではありませんでした。
イギリス連邦の国のため、公用語として、英語があり、現地のチェワ語を併用しているとのこと。
実際、映画の中でも、公の場では、英語を使い、内輪で話す時は、現地語で話しています。
そういう意味では、ドキュメンタリー風の作りです。
さて、映画の中身なのですが、これは、分かりやすいお話になっています。
2001年に、マラウイは干ばつに襲われます。作物が全く育たない危機を深刻に受け止めた主人公の少年は、学校の図書館でエネルギーに関する本を目にします。
ここで学んだことをもとに、風力発電の仕組みが活用できることに気づき、手近な材料から、風力発電で、モーターを動かし、地下水を汲み上げて、畑の水不足を解消することを思いつく…。
面白いのは、「自転車」の存在です。
作品紹介の写真に、少年の左側に車輪が映っています。
これは、自転車の車輪で、この写真では切れてしまっていますが、ポスターで見ると、上部にある風車と繋がっているのです。
風力発電に、なぜ「自転車」なのか?
ここは、ネットで巧く説明されている記事があるので、ご一読ください。
出来れば、予備知識として有益なものなので、鑑賞前に読むことをオススメします。
物語展開として、私は、自主制作映画的な、抽象的表現多めかも、と少々不安がありましたが、そこは、BBCが関係しているだけあって、ドキュメンタリー風ながらも、ドラマのツボはきちんと抑えていて、分かってはいるけど、風力発電の起動に成功するシーンは、胸に迫るものがありました。
ちなみに、この主人公の少年ですが、本名がWikipediaに載っているほどで、世界的に有名な人物のようです。
確かに、10代で、干ばつの危機を救うくらいですから、相当優秀な人物なのは間違いありません。
そこで蛇足をひとつ。
主人公の少年は、図書館で、エネルギー関係の書物と出会う訳ですが、これは、英語の本なのです。
先述のとおり、マラウイは、公用語が英語なので、彼は、その本を理解できた訳です。
アフリカの各国の公用語は、植民地時代の影響から、英・仏・西・葡に併せ、現地語併用が多いそうですが、もし、世界的な影響力のある英語を使えなかったなら、いくら優秀な人物であっても、この奇跡はなかったかもしれません。
日本は恵まれている
痩せていて農作物が収穫できなかったり、海が無くて海産物が獲れなかったりする場所の苦労は大変なんですね。日本はその点でとても恵まれている。(食料自給率は低いけれど)
地球上の国々に暮らす人にとって、「生きるための条件」は平等ではないことをあらためて感じました。
教育のもたらすもの
マラウィの二宮金次郎?
素直に見れば、無情に土埃を巻き上げ困窮した生活の象徴だった風が、ラスト、天高く駆けぬける。そんな清々しさを感じて、映画館を後にできる。
9.11の頃のマラウィのある地方の現状に驚き、
この映画を撮影した時点でも、マラウィでは未だにあのような乾いた土地があるということに驚く。
なのに、空と大地は、あれほどにも雄大で、神々しくて息をのむ。
たくさんの人に見てもらいたいと思いつつ、
聞きかじった情報が心と頭をよぎり、かき乱されて、絶賛とはならない。
「ちゃんと勉強している。なんで学校に行かなくてはいけないの?」
何人もの不登校生に言われる言葉。
この映画でも思う。学校って何を教えてくれるところ?もちろん、ウィリアム君が”あの本”を理解できる素養は初等科で学んだのだけれども。
「(教育によって)僕は父さんが知らないことを知っている」
父と息子の力関係が逆転する危険性。
教育の名のもとに、民族の知恵≒おばあちゃんの知恵袋と言われる伝承の否定。
知識や知恵を蓄えていたがゆえに尊重されていた年長者。でも、今は誰でも”情報”を入手でき、”知恵”を外部に求めることができる。年長者の権威の失墜。”労働力”となりえない者=無用論。
教育によって、すべてのものを人間が管理できると思ってしまう”万能感””支配感”を得たという勘違い。そして、引き起こした環境破壊。
そして、失われつつある口伝えの文化等、その土地が伝え続けてきたもの。
欧米化した各地で起こったこと。
効率化や利益を上げることが主になってしまったことによる環境破壊。
地下水のくみ上げすぎで地盤沈下したと噂される地に関係する身には、これでこの土地がめでたしで終わるとは思えない。
貨幣が浸透することによって、目先の利益に飛びつかざるを得ない状況。
農園の話が冒頭出てきたけれど、どうなったんだ?洪水の備えは?
と、欧米の価値観を非難したくなる。
環境破壊の影響を受けた天変地異に脅かされる生活。
だが、
あの、圧倒的な水浸しを、乾いた土地を目にすれば、江戸時代の日本のようにため池を作る工事が必要なのではないか。バブルの頃はさかんに叩かれていた、インフラ整備のODAも捨てたもんじゃないと、マラウィの”土”がどういうものかも知らないで、考えてしまう。植生・植林を乱されてしまったから、土が水を保有する力を失ってしまったから、ため池を作っても、すぐに干上がってしまうのか…。単作農業は、害虫に弱いと聞いたことがあるような…。
非識字率が高い国で識字率を高める活動を続けてきた方がおっしゃった。
「土地の伝統文化は、その土地ならではの知恵を有している。守り伝えていかなければいけないもの。反面、貨幣はどこの土地にも浸透しているし、環境の変化はどこの地域にも及び、昔のままの生活では立ち行かない。村外部の知識がない、言葉を知らない、文字を読めないがゆえに、搾取され、変化から取り残される危険性から、身と家族を守るために、識字は、学問は必要なの」
要は、得た知識をどう使うかという知恵も必要なのだろう。
夫を罵りたい状況でも、子の前では父を立てる。父と子を繋ぎ続けた母の自己コントロールに心を打たれる。
また、失敗続きの父ではあるが、他の家で餓死者が出るような状況の中で一番先に倒れることの多い赤ん坊はこの家では育っている!!!この父なりに、家族を守り続けた証(自分は食べないで、使用人(お手伝い人?)に食べろと勧める場面あり)。
そして、伝統を否定する母が言う。「昔から、皆で力を合わせてきた。この状況の中で、いつ力を合わせるんだ」
この母にして、この父にして、この子あり。
知識を渇望したウィリアム君。
だが、助け合いの精神を育んだのは、この家族であり、この部族という伝統(親友は次期族長)。
教育とは、点取り競争ではない。偏差値だけで図ることではない。
子どもの好奇心を応援してあげること、この両親のような知恵を身につけることなんだなあと思った。
なんて、考えてしまうが、
映画はマラウィの状況を描くことに時間がさかれる。が、どこかで聞いたようなエピソードの羅列で薄っぺらい。
”族長”が出てくるが、”族”の解体もあっさり描かれる。
この国の話を別の土地に持っていっても同じ?と思えてしまう。
母の言う「昔は皆で力を合わせて乗り越えてきた」そんな具体的なエピソードがあればよかったのに。
原作未読。
他のサイトのレビューによると、”改悪”している部分もあるようだ。
支援を待つだけの「他者依存」という人もいると聞くが、実際は援助を待つだけでなく、ウィリアム君以外の人も自助努力もしていたはずだ。そんなマラウィの人々の知恵も具体的に描いて欲しかった。
環境破壊についても、教育についても、貧困についても、マラウィについても、一般論ばかりで、監督ご自身の哲学がない。
惜しい。
勉強は生きる力になる!
実話の映画化。子供と一緒に見るといいかもしれない。いかに日本に生まれた自分達が幸せかを実感できる作品。
舞台であるマラウィという国の自然の厳しさは半端ない。昔ながらの農村部の暮らしは特に厳しい。暮らしを良くするために、自分の頭と手を使って、辛抱強く努力した主人公の姿に感動した。
主人公の男の子は演技経験がなかったそうだがとても良かった。
彼のストーリーは星5つ。感動的。 ただ、映画としてはよくある実話ス...
彼のストーリーは星5つ。感動的。
ただ、映画としてはよくある実話ストーリー。
終始展開が想像ついてしまった。
実話だから…
テンポがあまり良くない。14歳で自転車と廃品で風車を作って発電化し、地下水を汲み上げ、一年中水を絶やさないよう発明した実話物語。発明する様は詳しく描かれず、どちらかというと、マラウイの貧しさ、政治的混迷を描いている。周囲はタバコ業者に土地を売って金を得、村を出ていく選択をする中、父親は居座り続ける。環境の変化によって、農作物は収穫できなくなる中、飢饉となる。やがて娘も出ていってしまう。息子の学費も未納となり、退学となるが、隠れて図書室で勉強するようになる。それがやがて発明の原点となったが、風車の元となる、自転車を父親は断固として譲らない。父親は学がない。妻のあんたのせいでみんな失うは強烈な一言だった。目が覚めたろう。父親が家族を守るのは当り前、しかし何をして良いのかわからないが本音だと思う。けれど、あのまま行ったらみんな餓死だったし、考えを変えさせた母親こそ素晴らしい。
良い話ー!お父さんが息子に教育を受けさせたおかげで、なんやかんや衝...
良い話ー!お父さんが息子に教育を受けさせたおかげで、なんやかんや衝突がありつつも、結果貧困にあえぐ一族を救ったわけだから、本当に息子の言う通り失敗ばかりじゃなかったよね。何事かを成し遂げるのには、熱意と、時間と、周囲の助けが必要ということがよーくわかる映画でした。
「朝がいい。朝ご飯が好きだから」
2001年になっても、雨乞いをして、干ばつをしのげると
信じているような村で、「学ぶこと」によって、風力発電に
成功した少年と、その家族の物語
風力発電そのものについての試行錯誤がメインの話と思いきや、
この、マラウイという国の、食べるものにもことかく貧困の実態と、
学ぶことの困難さや、昔ながらの風習に固執する頑なさにより、
貧しさからなかなか抜け出せない人々のドラマが主な話でした
原作を読んだという夫の話では、軽めのノリだったそうですが
この映画は、重いトーンで話が進みます
貧しい暮らしぶりのドラマを観るのは初めてではないので
衝撃を受けるほどではない・・・しかし、監督兼主人公の少年の
父親役のキウェテル・イジョフォーをはじめとして、それぞれの
俳優たちの名演により、説得力のある内容になっていたと思います
印象的だった場面
干ばつで、一日の食事が一回、になった時、
「食事はいつにする?」と聞く父親に
「晩ご飯。お腹がすいてると眠れないから」と答える娘
「朝がいい。朝ご飯が好きだから」と答える主人公ウィリアム
う~ん・・・(家族を食べさせていかなければ)という親の立場で
ないから出てくる言葉
しかし、ポジティブだなぁ。というか、そうならざるをえないか・・・
だからこそ、この村の人々にとっては夢物語の様な発想を
現実のものにしようと思えたのだろうし
絶対に、子供たちを飢えさせないと誓う母親
「食べるものがなくなったら、自分の腕を切り落してでも食べさせる」
静かな気迫がこもっていました
風力発電で、干ばつをしのげるかもしれない、それを現実的な
規模のものにするには、父親が使っている自転車が必要だ、
分解するから返すことはできない、と言うウィリアムに、
食べ物を手に入れる為に必要な自転車が無くなる?
父親の耳には、夢物語のように聞こえる風力発電
自分の食べる食事すら我慢して、飢え死にしそうな未来が
待っているというのにこいつは何寝言言ってんだ・・・という
思い故が、キレる父親の頑固さが、この国の貧しさの根底にあるようで
やりきれないような切ないような気持ちになりました
細かい所では突っ込みどころがなくはないですが
多分、映画として、実在の人物をモデルにする上で
妥協せざるを得なかった部分もあるのでしょう
実際は、描くに描けない話もあったのでは・・・と思います
ラストの場面
父親が、息子ウィリアムに言った言葉
「学校へ、行きなさい」
は、胸に迫るものがありました
学ぶことにより、貧困から脱する事が出来たという実感が
その言葉にこもっていて・・・
特に人に強くお薦めしたいって程ではないけど
いい作品だと思いました
食べることは生きること
少年が試行錯誤して風力発電機をつくる話かと思っていたが、話の焦点は農業の不安定さからくる貧しさで生きる困難さだった。
残酷なシーンがあるわけでないので、
苦しさを伝えることが目的でなく、
苦しい中でも愛情深い両親や懸命に夢を実現しようとする少年の勇気を伝わってきた。
実話が元になっているということで、
理想的な家族愛ばかりでもなく、父親は差し迫る飢えにより、活気的な発想を切り捨て勉強は無駄だと言い放ったりして、心が痛むシーンもあった。
印象的だったのは、政府が小麦を売りにきた際、買えなかった人々が倉庫を取り囲み中から出れなくなってしまったとき。
本当にこわいのは人間だなとゾンビと比べて思った。
食べることは生きること、当たり前だけど便利な生活の中で必死に食べ物を求めることもないため、忘れてしまう。
月並みだが、この恵まれた環境を無駄にしたくないと思うし、こういった境遇の学びが脅かされている子供たちのことも忘れてはいけないと思った。
ガラクタの寄せ集めで風力発電
何もない村で、ガラクタの寄せ集めで風力発電までこぎつけるって、ちょっと想像を絶する。
それが、飢えに苦しむ家族や村をどうにか救えないか、という切実さから実を結んでいることにさらに驚く。しかも少年が。
で、映画の構成でいうと、最終盤までずっと苦節。これがちょっと観ているほうとしては疲れた部分でもある。ポジティブにことが進むのってほんと最後だけ。その前フリのぶん開放感があるのも確かなんだけど。ま、これを言い出すのは虫が良すぎるか。。
悲しいシーンいろいろあるが、お母さんの、腕切って食べさせる、私の子だから、ていうセリフはなかなか極限だと思う。
風は自然からの贈り物。
干ばつで穀物が収量が見込めなくて食べていくこともままならない。
これらを解消する為、勉強し風車を作って電気を起こすことに。そして畑に水を流す。
一年中決まった収量を収穫出来るようになった。
貧困の中であっても親を思う気持ちがひしひしと伝わる。父の威厳と子供に勉強させたいという母の思いがこの少年を支える。
日本では電気が日常的に使えるので有り難みを感じることがありませんが。ここでは大変な事。
家族。また、村全体で助けあって生きていることがとても温かみ感じた。
風をつかまえるまでが長く辛い
残念ながらアフリカとの国民性があまりにも違いすぎて、感情移入ができなかった
演出も淡々としていてリアリティを感じなかったせいもある、とにかく恐怖ばかりが犇々と伝わった
原作をある程度知ってはいたが、違っている内容もあり、とにかく勿体ないクライマックスになってる
でも史実として、このような貧しく苦しい現実を生きる少年でも、家族を思い素晴らしい結果を成し遂げた彼がいたことに素直に感動した
あの風車で何アンペア作れるのであろうか?
貧しい国アフリカのマラウイにて風力発電機を作り、その土地を救った少年の実話を映画化。
質素過ぎるこの舞台は今まで観た事が無いと思うくらい。
現金主義の学校。民主主義を掲げるが何がしたいが不明な国家。イマイチ未来の理想が無い村。
干ばつが起きて食糧不足、盗みなどが起きる中、少年は焦らず風力発電を利用すれば荒れた土地に水が戻り、やり直せると考える。
知識は必要だ。物(材料)も必要だ。
それをこの質素な世界で入手等一苦労する。勉強する。やるせなさを抱えながら。
この「やるせなさ」の中、巧妙を見出す少年のイイ話なんですが。
コレ運かなり絡むよね?材料にも製作過程にもw
あの廃棄処理場に動くポンプやまだ1年も保つバッテリーが有るって、、、
ダイナモと合わせて三種の神器が無ければどうなっていたことか?と思ってしまうし、フィクションが元なので映像ツッコミは素朴過ぎてしませんが、彼がバッテリーやポンプも自作していたのなら高評価にしていた映画だ💦w
素朴な話なので凄く感動はしなかった。
単にええ話ですね、、、と。
理系は疑うと思うよw
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