「アメリカがジャイアンなら、ドラえもんになりたい。」バイス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカがジャイアンなら、ドラえもんになりたい。
いや、ドラみちゃんでも良いけど。
2001年9月11日のことは、今でも覚えている。仕事を終えて帰宅して、飯食いながらニューステ見てたら、ツインタワーから煙が上がる映像が流れて来た。二機目の激突があった瞬間、脳裏によぎったのは「サスペンス陰謀モノみたいなシナリオ」でした。以下の様な。これはテロ。シナリオを描いたのはCIA。当局の「お目こぼし」でイスラム原理主義組織が犯行を成功させた。この後、次々と証拠が挙がり犯行組織は逮捕される。つまりは株と原油価格操作のための自作自演。
てな事が頭の中を巡っていたら、ビルが崩落して慄然とした。
その後も「サダムフセインとの関係性が暴露されイラクへ侵攻を開始する」とは、思ってませんでした。国連議決が取れるはずないから。
ブッシュ、というかチェイニーは「大統領の緊急事態権限」を拡大し続け、遂には国連議決無しで、イギリスと共にイラクへの先制攻撃を開始します。侵略です。ちなみに、この「緊急事態権限」は、その後も継続され続けており、現在も米国は大統領の「緊急事態権限下」にあります。いや、あるはずです。
ブッシュは、一国の主権国家大統領を捕らえ、一方的な裁判の末に死刑にし、イラクの石油利権を収奪します。こんなことが許されていいはず無いでしょ。俺にできる事と言えば「地獄に落ちやがれ」と呪うくらいだが。
映画本編は、ディック・チェイニーに一定の敬意を払いつつも、ブッシュ政権のイラク侵攻を非難する映画。と言う、陳腐な代物です。チェイニーの人物像にも焦点をあて、ラムズフェルドの使い走りから始まったキャリアや父親としての姿は、普通の伝記モノな雰囲気。仕掛けや仕立てがユニークで面白く、飽きずに、かつ、それほど腹立てずに最後まで見れました。が、「原作既読の映画を観てる気分」は否めず。もっと攻めても良かったんじゃないかと思う。
尚、「アルカイーダの生い立ち」をご存知ない方は事前に調べておいた方が良い、と思うのと、「リベラル」の意味も再確認しといた方が良いと思います。リベラルを自称する極左(≒政治家を自称する活動家)に、メディアがツッコミ入れない日本。意味、全然違いますから。これ知らないと、最後、違う笑いになってしまうと思う。