ビール・ストリートの恋人たちのレビュー・感想・評価
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愛を信じるなら、未来をおそれるな
ムーンライトを見てないので、まるで、傍観者に訴えかけるようなワンショットシーンも良かったし、ティッシュの衣装が可愛いかったし、男女2人の淡い距離感がロマンティックだったし、セリフも粋だったし、BGMの使い方も情緒が出てて、この監督の素晴らしさを実感が出来た。
確かに監督のやりたいことはわかったけど
あまりにテンポが遅すぎるのと静かなシーンが多過ぎでかなり眠たくなる作品。話の時間軸が進んだり戻ったり、仕方ないかもしれないけど何も物事は解決してないし。主人公たちの社会的、地理的な背景もあまり説明がなかったような。
人種問題の映画を作るのはいいと思うのですが、興行的にイケてるか、面白いかは別の話ですよね。公開規模の小ささが物語ってますね。
静かに静かに迸る怒り
愛する者を救済するために
奔走する家族の姿に心がひりつく。
「俺をかばうな」と言って
白人警官に目をつけられたファニーを
牢から出そうと活躍する女性たち。
愛を力とする逞しさを
感じずにはいられない。
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2019.3.1 TOHOシネマズシャンテにて1回目
愛や家庭すら
人並みに営むことができない
そんな状況に置かれても
折れることなく育まれていく絆
白人の有色人種に対する
理由なき悪意の底知れぬ恐怖。
面会室のガラス越しに写す
ファニーの表情のアップ。
語られる愛の言葉とは裏腹に
ティッシュをしかと見つめる
傷つきやつれた形相からは
不条理な拘束に対する
怒りや諦観が顔を覗かせる。
白人男性の黒人女性に対する扱いが
まるで選び放題の商品のようで
計り知れない嫌悪感が胸に溢れた。
観賞後に我々が味わう
遣り場のない様々な感情
おそらく彼らは
常にそれらを抱え生きている。
理不尽で訳の分からないこの話をどう・・・
カッコいい映像とイカした音楽が絡み合い、非常に質の高さは感じたけれど、あまりに理不尽で理解に苦しむこの物語をどう受け止めるべきなのか・・・正直、自分には分からなかった。
何も満たされない徒労感のようなものを感じるし、それがこの作品の本質なのかも─
見る人の姿勢によってどうにでも変化するような作品だった。それゆえ難しい。
とても良かった
カップルの話だが、ティッシュの語りが基調となって話が進むからなのか、ファニー側の立ち位置の登場人物達がことごとく途中でフェイドアウトしていくのが少し気になった。ファニー自身も被害者としての描かれ方が強くて、人間性を掴みきれない感じだった。その分ティッシュや彼女の家族の愛情に満ちたやりとりを情景として際立たせた、ということか。原作を読んでみたいと思った。アメリカの酷い差別を強く告発する内容であり、尚且つこんなに静かで綺麗なスタイルに作っているのが凄いと思った。劇伴音楽も良かった。既存曲のあれこれ、どれも良かったがニーナ・シモンが特に切なくて沁みた。
絆を持って生きる
オープニングの映像を見ながらカメラワークの美しさに心奪われました。全編通してあらゆるショットが印象的に捉えられていてアート性の高さを感じます。監督の前作「ムーンライト」でも同じような印象を持ったことを思い出しました。
そんな心地良い中で進められていく物語は、黒人の厳しい現実を描いているのですが、これは今までの映画でも多く語られていた事なので目新しさはなく、それゆえドラマ的には物足りなさもあります。
傑出したのはヒロインの母親の演技。飛び抜けて素晴らしい。白人警官の横暴で捕まった黒人青年。よくあるパターンのドラマが、この母親の存在で、事件の裏には多くの人々の苦しみ悩み、怒り悲しみが存在しているんだという現実が突きつけられます。ドキッとする瞬間。
そして時間軸を変えて描かれる “恋人たち” の初々しい恋愛シーン。目と目だけで十分伝わる無垢な演技がまた素晴らしい。そんなふたりが理不尽な運命の中でもしっかりと絆を持って生きるという設定はとても共感できます。
惜しむらくはその他の登場人物が一過性のもので終わってしまっている点と、淡々としてダイナミックさのないストーリーが見ている人の好みを分けてしまうのかなと感じた点。これは「ムーンライト」でも同じでしたね。
タイトルなし
ムーンライトも記憶にあったし、期待して見に行きましたが、中盤まさかの寝落ち。
ストーリーは単純で、各シーンにかなりの時間かけたスローテンポで進むし、盛り上がりもないのでそれが原因だったと思われる。
でも話は全然進んでないから寝ても分からなくならない!
美しさ。愛の強さ。
「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督が描くこの愛の映画は、非常に酷薄な状況に置かれる者たちが主人公であり、一見悲劇であるのに、なぜか常に暖かい。映画の色調の暖かさであり、そしてヒロインであるティッシュの強さ、家族の優しさ。
そんな暖かさに包まれながらも現実は否応なく進む。
原作は読んでいないが、「大きな物語」(法廷劇とかそういうの)のカタルシスが発生しない丁寧なつくりは、素晴らしくもやや単調でテンポが遅くもあり、その点は人を選ぶのかもな、と思ったり...。
しかしそういう細かいシーンの積み重ね(「人間違うのは母親だけ」)とか、ふたりの愛の軌跡の描写が美しく、感情を揺さぶられた。
淡々と進むティッシュの語りが過酷な現実を引き立てる。
しかし...予告編の音楽が本編で一回も出てこないってどうなの。そこは予告編の作り方考えろよ!!
よかった
冤罪で投獄された黒人男性とその恋人の話で、黒人が虐げられていた歴史を物語る映画であった。
彼のお母さんと妹を自宅に招いて、妊娠を告げる場面が本当にひどくて笑えるほどだった。あんなに意地の悪いお母さんや二人の妹は滅多にいない。彼のお父さんが思わずぶったたいたのはすっきりしたのだが、その後、お父さん同士で出かけてしまって、残されたお母さんと妹のことを全く気にしていない無神経ぶりもすごかった。きちんと問題を処理してから飲みに行ってほしい。
ただ、テーマ自体が自分とは疎遠な問題であり、特に関心がなく他人事であった。
余韻が素晴らしい
70年代のNYが舞台。おそらくこの時代では日常茶飯事だった黒人に対する不当な弾圧を主題にしつつも決して大上段に構えず、一組のカップルに焦点を当て、丁寧に日常を描き出す。
予定調和的なハッピーエンドではないが、その分、ラストの余韻が引き立つ。
怒りも嘆きも全て現実で全てが詩
「ムーンライト」の時にも思ったことだけど、バリー・ジェンキンスの映画は本当に詩的である。特に前半部分。映画を見ながらまるで詩集を読んでいるかのようだな、と思ったほど。恋をした若く美しい男女の姿が映される回想シーンなど、どの瞬間を切り取っても額に入れて飾って置きたいほど綺麗で、映像そのものが詩そのもの。そして詩のように美しい回想から呼び戻された現実の厳しさに胸を打ち抜かれる。その連続。
この映画は、物語が後半へ進めば進むほど、バリー・ジェンキンスの怒りがどんどん明るみになってくるようでもあった。黒人であるということや、アメリカで黒人として生きるということがどういうことであるかを克明に描き出し、その不条理を真正面から訴え嘆きそして憤怒しているのが伝わった。「ムーンライト」でも黒人へ向けられる目の冷たさや同性愛者であることの過酷さが描かれていたけれど、この「ビール・ストリートの恋人たち」はもっとあからさま。ストーリーを飛び越えて露骨に白人をディスっている節すらあったほど。切ないラブストーリーに見せかけてかなりタフな社会派のメッセージを力強く投げかけていた。
原題を直訳すれば「ビール・ストリートが話せたら」となる。アメリカに暮らすすべての黒人の故郷である(とジェームズ・ボールドウィンが綴った)ビール・ストリートがもし口をきけたなら、だれにも聞き入れられることのなかった黒人たちの切なる思いを代弁し、主張し、証人にもなってくれただろうに・・・という黒人たちの嘆きがこの映画には込められていると感じた。
それでもやっぱりこの映画は「詩」だと思う。「怒り」さえも詩であるし「嘆き」さえも詩。映像を使った壮大な詩。メッセージも詩。決してロマンティックという意味ではないし、夢想的と言う意味でもない。ただ美しいだけではなく、現実をしかと見据えた奥深い詩。
加えて、主人公ティッシュ役のキキ・レインが纏っていた衣装が時代性も含めてとてもお洒落でキュート。いつどのシーンでも洗練されたレディのファッションをしていて実に素敵だったので、そこにも注目されたい。
黒人の人権問題の根幹に触れる社会派の傑作
昨日観た「女王陛下のお気に入り」に続きアカデミー賞授賞式直前の駆け込み。
邦題の「恋人たち」のイメージとはまったく違っていた。1970年代のNYを舞台に、依然として人権が危うい黒人たちの必死の生き様を描いた社会派の作品だった。ヘビー級の鈍く重いパンチを食らった感じだ。
確かに若い二人の恋は悪くない。彼らを支える家族もかっこ良すぎる。特に母親役のレジーナ・キングが秀逸で助演女優賞もあると思います。
しかし、決していい話に終わらないのは彼等を取り巻く環境の厳しさ故だろう。あの時代の悲劇をファッションとともにレガシーとして描くが……
これは永久に続くであろう差別や対立を示唆する、とてつもなくタフな傑作だ。作品賞もあると思います。
【2019,2.27 追記】祝アカデミー賞助演女優賞!
作品賞は残念でした。
久々の映画らしい美しい映画
これは、またアカデミー賞持っていくなと思った。
二人の美しさと言ったらないし、ストーリーも重厚で、最後も上手く纏まっている。
個人的にも若い頃NYに行った時の事や、昔の恋愛の記憶や感覚を思い出させてくれた。
久々の映画らしい映画をじっくり観せて貰ったし、監督、ありがとう御座いますと言いたい。
切ない!やるせない!
犯人は、黒人やったら誰でもいいん?
突然恋人が、レイプ犯に
妊娠中の彼女は?
家族の中はめっちゃ悪い!
裁判はまともに行われない。
原題のビールストリートが話せたらが
シックリいきます。
キキレインが不安を持った女性をうまく演じてました。
自由と希望とは果たして何か?
アメリカという国に対しての絶望感と失望感を目一杯感じる。黒人側も口では希望を失っていない、神はみているといいながら、どこかで諦めている、その眼が実に悲しげだ。顔と言葉のアンバランス差が何とも言えず重苦しさを誘う。強化ガラス越しの会話が妙に切なく、この強化ガラスこそがぬぐいようのないアメリカの不条理そのものであり今も歴然と存在するのであろう。こういう世の中が本当になくなることを切に祈らざるを得ない。
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