蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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勝手にふるえてろ調で、どうせモノローグやセリフの応酬をするんでしょ?
天才たちの葛藤を、 〝勝手にふるえてろ調〟で、 どうせ、モノローグやセリフの応酬をするんでしょ? ピアノの技量、音楽の世界、 それ以外の方法で伝えるのは難しいでしょ? と予想していたら、全く逆だった。 勝手に震えました。 天才 貴公子 努力家 そして 元天才 気持ちの描写がいっぱい伝わってきた。 例えばインタビュー映像など、ルック、 画調、手持ち感、 技術も高いが、 荒ぶる気迫で伝える。 やらないといけないを、 楽しむ。 人生も同じ。 生活に根差した音楽は早々に敗退。 あえて敗退。 音楽も映画も生活に根差した一般大衆のモノ、という当たり前の事は本作では語らない。 というか、 その当たり前を一旦崩してみよう。 そして 風の音を聴け 雨の唄を聴け 音符のあしあと ドキドキドキ 何か忘れてませんか? 三幕構成と考えれば、 ホップ→ステップ→ジャンプ ロッキー・バルボアのコード進行? (本当にそう?詳しい人、教えてください(汗)) A♭→B♭→C 総立ち ブラボー! 基本のキ、 ドントシンクフィール、 まずはドキドキすること、 原点回帰、 震えた。
化学反応
小説は読まず何の予備知識もなくいきなり見に行きました。 音楽のことは詳しくないですが、コンクールを直で見ているような気がしました。 予選からかっ飛ばす風間塵が起爆剤のような役割となり、亜夜→マー君に影響を与え、化学反応を起こし、その過程を見守る審査員。 唯一のサラリーマンピアニスト高島明石がいることで、一般と天才の対比が分かりやすく説明されています。 7年のブランクに悩んだ亜夜は、予選道中で少しずつ覚醒し 「世界は音で溢れている」 「あなたが世界を鳴らすのよ」 これを思い出して本選へと向かう。 出演者全員がうまくハマった映画です。 特に 松岡茉優の目が良い演技をしています笑
終盤の演奏シーン、良かったです! クラシック音楽に造詣が無いからこ...
終盤の演奏シーン、良かったです! クラシック音楽に造詣が無いからこそなのか、自然と涙が出て来ました。 通が観たらどんな印象なのでしょうか。
シンプルによかった
久しぶりに映画を観て原作を買おうと思いました。 松岡茉優さん、松坂桃李さん、その他にも錚々たるキャストの皆さんが揃う、この作品を映画館の予告をみてずっと楽しみにしていました。 予告は面白いのに本編は残念、というパターンが最近多いなと思っていたのですが、この作品は予告を超えてきました。 ピアノも、オーケストラも、役者さんの演技も脇役に至るまで、それこそピアノの演奏のように、最初から最後まで、とても丁寧で綺麗で良かった。楽しかったです。 私が特に目がいったのは広瀬すずさんが自らスカウトしたという鈴鹿くん。新人?!っと最後のエンドロールで驚きました。素晴らしい演技でした。他のキャストに負けず、とても輝いていて、これからもチェックしたい役者さんの仲間入りしました。 原作を読んでからまた観たいです。 世界が鳴ってる、とても素敵なことだと思いました。
張り詰めた空気感と最高のピアノ
ピアノコンテストがテーマということで、かなり張り詰めた緊張感が全編に亘るのだが、それだけでないそれぞれへの救いが見られ、見た後に爽快感と満足感が得られる作品。緊張感からくる疲れは感じられるが、決して徒労感はなく爽快だ。 特に松坂桃李の役が良かったなぁ、生活者の音楽というフレーズは中盤までは音楽だけに打ち込めない自分の環境へのコンプレックスとしか感じられなかったが、脱落してからの彼は、実力者との力の差を肌で感じながらも自らの立ち位置をポジティブに受け止めた。 ピアニストの孤独さと、でも同じようなピアニストと共鳴してお互いにポジティブな影響を及ぼし合うピアニストたちの関係性のコントラストが見事でした。
少ないセリフなのにストーリーが伝わる
カメラワーク、カットにオリジナリティを感じた。 セリフが少なめなのに、きちんと登場人物の心情が伝わってきてストーリーがわかる。
音楽と映像が良い
原作は知りません。 ストーリー的には、面白くない訳ではないのですが、大絶賛するほど面白い訳ではないかと…。 ただ、4人のピアニストたちの演技は、素晴らしかったです。そして、やっぱり、音楽。ピアニストのお話なので、音楽があるのは当たり前なのですが、音楽と映像の相乗効果を感じられます。今回は、雨音や雷の音なと自然の音も聞こえてきたりして、より、ピアノの音が強調されていたように感じました。こういう時に、やっぱり、映画っていいなって思います。 さて、今回の4人のピアニストですが…いい人たちですね。こういう作品の時って、必ず、陥れようとする人がいるじゃないですか…。仲良く4人で遊びに行ったりして、なんて平和なんだろうと…。正々堂々と競ってるあたりも好感持てました。
落ちても救いはある
音楽が流れ続ける映画で、音楽に興味のない人には面白くないとは思うが、音楽にまったく興味がない人というのは滅多にいないと思うので、程度の差こそあれ、それなりに多くの人々が楽しめる作品だと思う。 ストーリーと言うべきものは殆どなく、コンテスタントたちの群像劇である。最も重要なシーンは、主人公栄伝亜夜が子供の頃に母親とピアノを引きながら、自然の中にある音楽をピアノを通じて表現できることに気づくところだ。これが蜜蜂のシーンだと思う。次はコンクールを通じて親交が生まれたコンテスタントたちが遠くの遠雷を眺めるシーン。これは見たままの遠雷のシーンである。このふたつのシーンによって観客は、主人公の心に自然と生命の息吹とも言うべきものとの共生感が生まれたことを知る。表現すべきことは既に手に入れた。そして表現するための技術はとっくの昔に身に付けている。あとは心にかかるブレーキを取り去るだけだ。 実は心のブレーキを取り去るのは非常に難しい。それは理性でもあるが、生命の防御本能でもあるからだ。 怒りを覚えたからといって誰彼構わず殴りかかったりしないのは、自分の基本的人権が守られるように他人の人権を尊重するためで、それは理性の働きである。しかしそれだけではなく、日常生活の安定を失うことの恐怖でもある。 恐怖心が少なく、いつでも自在に振る舞える強気な人間が世の中を支配する。それは簡単に言えば暴力による支配だ。暴力的な指導者がエスカレートすれば戦争になる。人間の世の中は理性的ではないのだ。 社会が暴力的だと、恐怖はますます強まり、心のブレーキは強くなっていく。ブレーキが強くなりすぎたら、外に出られなくなる。即ち鬱病だ。 従って我々はブレーキを適度に効かせつつも、ときにはそれを断ち切って自分の心を解き放つ必要がある。そうしなければ前に進めないからだ。 主人公がそうやって一歩を踏み出す再生のストーリーであるが、コンクールに落ちたときには落ちたときの人生があることを作品は同時に描き出す。音楽がすべてだが、コンクールがすべてではないのである。そこに救いがある。 松岡茉優は相当に気合いの入った演技をしていて、自信と不安の間でメトロノームのように振れる気持ちがよく伝わってきた。主役を張るには少し存在感に乏しい女優だが、本作品の演技は一生懸命な、いい演技だったと思う。悲しいよりも幸せな表情が似合う人で、特に月を見て「ペーパームーン」や「月光」を弾くシーンはほのぼのと楽しそうで、心に残るシーンだった。
ピアノ星からやってきたピアノ星人
2019年6作目。今年は邦画しか見てない気が…。タイトルちょっとふざけてますが、「りゅうおうのおしごと」11巻を読んでいるところなのですみません。 コンテストなのでもっとシノギを削るのかと思いきや、良い意味で刺激しあって奏でるハーモニー。 最後の亜夜の笑顔が最高でした。 さて。マンガなら解説役に回る彼ですが、取材スタッフと知り合いということで強引に出入りさせてました。ちょいと無理筋でしたね。 演奏ではマサルよりも塵や亜夜で鳥肌が立ちました。楽しそうに演奏する演技も相まって、塵の演奏が一番心に響いた気がします。でも、亜夜を応援してしまうのですが。最後にコンテストの結果が字幕で出ますが、あなたのコンテスト結果はどうだったでしょう。
演奏たっぷり
映画館での宣伝で観たくなった。原作未読。 「ピアノばっかりにしてください(演奏のシーンをたくさん入れてください)」という原作者の要望にちゃんと応えられてる、応えまくってる作品。 演奏をまるまる聴かせてくれる。音楽がすごすぎてぞわっとして、まるでコンサートホールにいるみたい。しゃべらない演技が印象的。 一瞬だけど永遠。地球が鳴っている。 原作読みたいし、音楽聴きたくなるし、弾きたくなる。音楽に限らず、その道のプロってきっとこういう世界なんだと、その片鱗を味わえてよかった。
世界は音に満ち満ちていて、私はその1つになることができる
ピアノを鳴らす。 小説は既読。とても好きな作品。 映画は原作とよく似ているが、完全な別物と感じました(それが悪いという意味ではなく) すごく良かった一方で、細部が本当に残念でした。 カメラワークやショットが本当に綺麗。これはテーマの「世界は音楽に満ちている」を絵で表現しようとしたんだと思いますが、とても良かったです。その先のメッセージも綺麗に落とし込まれていました(少し明確に示しすぎ、かとも思いましたが。原作のボカす感じが好きなので) 二次予選、およびクライマックスの演奏は圧巻でした、演奏も表現も。主役級4人は皆良かった。 一方で特に序盤、説明セリフが酷い。というか会話が全部説明じゃん。そんな最初から全て求めてないですよ。 原作は著者恩田陸お得意の群像劇ですが、本作では松岡茉優演じる女性1人の物語だと感じました。 それなのに群像劇としてのスキームを捨てられていないので、特に森崎ウィン演じる役とか、要らなくね?という印象。演技は決して悪く無かったですけど。演出の問題。 あと調律士とかクロークとか審査員とかを事あるごとに描写しているのも、やっぱり群像劇にしたかったのかな、1人の話なのか皆の話なのか、振り切れていなくてすごくモヤモヤしました。いらないし、下手。
自らの高みを目指す若者たち
国際ピアノコンクールに参加する4人を中心に、自らの高みを目指す若者たちとそれに関わる人々を描く。 松岡茉優と森崎ウィンの再会を軸に、宮沢賢治のような松坂桃李、謎の少年、風間塵がからむ。主役は松岡茉優だが、少女時代の母との連弾を繰り返し描いているが、最終審査に臨む葛藤や覚悟を決めたあたりの描き方は、少し弱かった。雨中の馬のスローモーションは、「愚行録」のバスのシーンを思い出させもするが、今ひとつ意味が読み取れなかった。 タイトルの意味は、他の若者たちに刺激を与える陰の主役、風間塵を現しているのだろうか。 ピアノシーン、オーケストラとの協奏シーンなど、音楽は良かった。特にラストのプロコフィエフ第3番が素晴らしかった。
音楽って共鳴して広がる
人と人が繋がる方法はコミュニケーションを取ること。 一般的に、人は言葉や態度、仕草で他者との距離を測り、自分の居場所や意思を伝えて生活している。 それがいわゆる「普通の感性」だ。 芸術の側面ではこの「普通の感性」を表現する媒体が音楽や絵画やダンスや歌だったりする。 「普通の感性」を一般的なやり方でない方法で表現するからこそ「芸術」なんだと思う。 役者の演技力でもって、キャラクターの心の揺れ動きが分かりやすく伝わってくる。 芸術に触れるとそれを自分の中に取り込んで咀嚼して、急いでアウトプットしたくなる気持ちはとてもよく分かる。 良いものは波紋のように広がって、自分の中の何かを形にしたい衝動に駆られる。 その余波を共感できた者同士が共鳴すると、観ていた景色が広がっていく。 きっと、絵を描いたり、ピアノを弾いたり、何かを表現することが好きな人には刺さる映画だと思う。 ただ、個人的に評価が3止まりなのは、キャストに少し不満が残ったからだ。 レポーター役のブルゾンちえみと指揮者役の鹿賀丈史が自分的にはミスキャストだったように感じてしまった。 ブルゾンちえみは存在感が薄い方が良い。観客の知識補填役として、素人の立ち位置でコンクールや参加者の説明をしてくれる役所なのだが、随所で目に入る。バラエティでは爪痕を残すことが最良の仕事だが、映画においては作品の中に溶け込む演技力を身につけてから仕事を引き受けて欲しかった。彼女が悪いわけではなくて、他の役者の演技力が優っているので浮いて見えるのは仕方ないのかもしれない。 鹿賀丈史に関しては明らかに指揮者役の勉強不足だと思う。オーケストラを束ねるコンマスだよね?指示出してる?って思うくらいただ手を振っているだけ。一筋縄ではいかない指揮者をやるなら、100回は原曲を聴いて少しは自分で振るぞって気概がないと何のためにこの役に選ばれたんだか分からないよ。 他の役者さんが実際にピアノは弾けなくても、目線や表情で演奏の芝居をしているのに対して、少しどころか素人目にもお粗末な指揮者だった。 作品自体はキャラクターの心理描写に特化した良作で、音楽をテーマとした難しい作品をここまで映像化した良作だと思います。 素人が偉そうなことを書きましたが、胸にグッとくる表現力のエネルギーを是非劇場でお楽しみください。 音響の良い映画館でご覧になることをお勧めします。 それから、今回はポップコーンよりホットドッグがオススメです。
神の息吹が感じられるレベルで競い合う若者たちの姿はそれぞれに美しい...
神の息吹が感じられるレベルで競い合う若者たちの姿はそれぞれに美しいものだ。観ながら、この高みはどんな芸術でも、サッカーでも卓球でも同じではないかという気がした。純真に努力を積み、目標に向かって頑張っている全ての人に勇気を与える作品だったと思う。天才というのは所詮努力の結実であるからだ。新人鈴鹿央士の演技は途方もない傑物そのもののはまり役。鹿賀丈史が渋くて良かった。斉藤由貴の英語ふにゃふにゃ。映画の後で小説上下を読んだけど、原作よりむしろ良い。原作は下巻が冗長、三次予選間引くべき。映画では指揮者小野寺が亜夜の鍵盤をボーンと叩くエピソードが造られていたが、良かった。この映画は成功していると思った。
見応え聞き応えあり
母を亡くした事で挫折した少女ピアニストが、再び音楽家に戻るべくの挑戦と、それに絡めたコンテスト参加者のあり様や、それぞれの心模様を描いている。 とは言え、天才ピアニストアヤを演じる松岡の挫折は理解出来たが7年の空白を表すには、もう少し描き方があったのでは?とも思えた。 ともかくも、演奏シーンが素晴らしい。それぞれの演奏家としてのシーンも素晴らしかったが、なんと言っても月の光を見て、アヤとジン、二人の連弾、月光を弾くシーンは痺れた。 この映画は、音楽はもちろんだが、映像として、スローモーションの雨の馬のシーン、海の向こうの遠雷、何度も出て来る母との連弾シーン、その部屋の様子、ピアノを弾く手、アヤがコンクールでピアノを弾いた時、ピカピカのピアノに映る昔の自分と母の連弾場面。音楽と映像で、心情を現していた。 見応え、聞き応えがある映画であった。
見逃さなくてよかった
予告編を見て気にはなってなっていたけれども、スルーしていた。ムービーウオッチメンで宇多丸さんのレビューを聞いて見てみたいと思い、映画館に足を運んだ。 見逃していたら絶対に後悔していた。今年の日本映画で最高だと思う。 コンクールでの演奏場面がすごい。舞台袖の控え室からカメラが回り、演奏者の主観ショットに切り替わるので、見ている自分がそれぞれのコンクーラーとシンクロして演奏に臨む。会場からの視点に変わると、見ている自分たちが、一切の音を発することが憚られるコンクール会場と同じ緊張感に襲われる。劇場内では、誰もポップコーンに手をつけない。 演奏シーンがすごくよい、超絶技巧であることは、クラッシックに素養がない自分にもわかる。技巧的であること以上にピアノの弦が発する音の波が自分を歓喜の世界へといざなってくれる。 ピアノの音に酔いしれたのは、生まれ始めての体験。 なんていっても松岡茉優。トラウマがある元天才少女の見事に熱演していて、栄伝亜夜に一番感情移入してしまった。風間塵との連弾シーンは、もう一度見てみたい。月を見ながらピアノを一緒に奏でる二人は、音楽を心から楽しんでいた。 題名の「蜜蜂と遠雷」が不思議でしょうがなかったが、納得できた。自分もあらゆる音をミュージックとし楽しめるのではないかと思う。
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