「ピアニストたちへの尊敬と愛情を感じた。」蜜蜂と遠雷 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ピアニストたちへの尊敬と愛情を感じた。
石川慶 脚本・監督による2019年製作(119分/G)の日本映画。
配給:東宝、劇場公開日:2019年10月4日。
原作はとても有名らしいが、漫画も含めて未読。
最近、ピアニストやピアノコンクールに関心が高いこともあってか、とても興味深く見ることが出来た。ライバルとなる登場ピアニスト達もかなり個性的で面白い。
特に、弾けなくなってしまった元天才少女という松岡茉優演ずる亜夜のキャラクター設定は印象に残った。ピアノ代演の河村尚子( ミュンヘン国際音楽コンクール2006年 第2位)による演奏も、とても良かった。特に、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、こういう素晴らしい曲の存在を知ることもできた意味でも嬉しかった。
亜夜と森崎ウィン演じるマサルが同門で、マサルが天才亜夜をずっと追いかけていたという設定も、前回ショパンコンクール準優勝者反田恭平と小林愛実の関係性を、思い起こされた。天才少年と言われていた鈴鹿央士を演していたのが風間塵。みじかにいないので、本当のところわからないが、イメージとしての天才らしさが表現されていた。代演奏がイメージが合致する藤田真央(1998年生まれ、チャイコフスキー国際コンクール2019年第2位)というのも嬉しかった。
全体として、音楽に全てをかける若者たちの葛藤や凄みに光が当たっていたのを嬉しく思った。また、コンクール優勝者マサル(森崎ウィン)に語らせていた様に、クラシック界にピアノ演奏だけでなく、ショパンやリストの様に作曲もできる大音楽家を待望したい。
監督石川慶、原作恩田陸、脚本石川慶、製作市川南、エグゼクティブプロデューサー山内章弘、プロデューサー佐藤善宏 、石黒裕亮 、加倉井誠人、ラインプロデューサー大西洋志、プロダクション統括佐藤毅、撮影監督ピオトル・ニエミイスキ、照明宗賢次郎、録音久連石由文、美術我妻弘之、装飾篠田公史、スタイリスト高橋さやか、ヘアメイク酒井夢月、スクリプター藤島理恵、VFXスーパーバイザー廣田隼也、編集太田義則、音響効果柴崎憲治、劇中音楽篠田大介、音楽プロデューサー杉田寿宏、「春と修羅」作曲藤倉大、ピアノ演奏河村尚子 、福間洸太朗、 金子三勇士、 藤田真央、オーケストラ演奏東京フィルハーモニー交響楽団、助監督川口浩史、製作担当相良晶。
出演
松岡茉優栄伝亜夜、松坂桃李高島明石、森崎ウィンマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、鈴鹿央士風間塵、臼田あさ美高島満智子、藤原しおり仁科雅美、ブルゾンちえみ、
福島リラジェニファ・チャン、眞島秀和、片桐はいり、光石研菱沼忠明、平田満田久保寛、
アンジェイ・ヒラナサニエル・シルヴァーバーグ、斉藤由貴嵯峨三枝子、鹿賀丈史小野寺昌幸。
ううむ。代演奏者たちをリアルにご存知なこと、うらやましい!!自分は音楽わからないから、弾いてる人、プロだから上手だなあ、という情けない思いしかないので。それでも、ほんとに素敵なピアノたちでした。
久しぶりにこの映画について書けて嬉しいです。是非機会あれば原作も堪能ください。奥深さは3倍くらいかなあ。