「いくらなんでも原作と違いすぎる」蜜蜂と遠雷 Bratscheさんの映画レビュー(感想・評価)
いくらなんでも原作と違いすぎる
驚きました…
こういう映画になっていたとは…
原作そのままな訳はないと思っていたけど、こんなに違うとは予想してなくて。
これはこれで良かったのだけど、率直に言って、観たいと思っていたのは「これではない。」かな。
誤解されたくないのだけど、原作をなぞることを期待しないで観られれば、十二分におもしろい。
良い映画だったと思います。
(以下、ネタバレあります)
まず、キャラの性格ね。
監督の思うキャラ設定と私の主観が異なるのは、まあ、当然なのだけど、それを差っ引いても「亜夜が演奏を怖がりすぎ」と感じてしまった。
一次審査の演奏も、原作では、元.天才少女の面目躍如。
映画では「通過は確実だけど、かつての輝きはない」
明石は、(私の)イメージ通りだったけど、マサルは、思うより、ずっと庶民的だったし、塵は単なる「ピアノの上手い無邪気な男の子」だった。
何より違和感があったのは、指揮者。
原作では、懐の深い紳士だったのに、気難しいキャラに。
なぜか、ブラ1とか、モツレク演奏してるし。
原作通りだったのは、それぞれの「生い立ち」の設定と「風間塵が周りに影響を与える」という設定くらい。
あ、「月の光」の連弾は、数少ない共通エピソードか。
あのシーンは、良かった。
演奏も良かった。
繰り返しになるけど、原作に拘らなければ、とてもおもしろい映画だったと思います。
実際、今日の昼間に観に行ったカミサンと娘達は、とても良かったと言ってるし。
(3人とも、原作は読んでいません)
ただ、私は、松岡茉優に「原作通りの栄伝亜夜」を演じてもらいたかったのだと思う。
演奏から逃げたことがトラウマになっている亜夜ではなく、それは整理した上で、音楽との向き合い方に悩んでいる栄伝亜夜を見たかったの。
「音楽との向き合い方に悩んでいる」とか言いながら、ひとたび演奏すれば、さらっと周りを凌駕する。
それが嫌味にならない、天然の朗らかさのある亜夜。
私の勝手な希望ですけどね。