「音楽村の若者たち」蜜蜂と遠雷 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽村の若者たち
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文庫にしても厚さ2cmで上下巻の大作、そもそもクラシックは長いので完奏は無理でしょう、そこで登場人物やエピソードの割愛やハイライト編集に頼らざるを得ませんね、加えて読み物なら読者の感性次第で補えますがなまじ具現化してしまうので上手に映画化するのは超難関だったでしょう。
出場者はライバル心剥き出しかと思ったら和気あいあい、お互いが触発しあって演奏を熟成してゆくプロセスは実に微笑ましい。特に月を見て、ドビッシーの「月の光」やベートーベンの「月光」、意外だったのは「It's Only a Paper Moon」まで聞かせてくれる大サービスにはやられました。
まあ、ドラマ・ツルギ―としては敵役も必要なのでしょう、横柄な審査員や上からものを言う指揮者など音楽村の権威主義が鼻につくのはクラシック界の残念な実状かも知れませんね、鹿賀丈史が上手すぎて、「セッション」のJKシモンズ登場かと身構えてしまいました。
亜夜ちゃんが過去のトラウマで本選に尻込みしているのは分かりますが、肝心なところで気を揉ませるのは悪趣味ですね、母との思い出、音の謎々での雨音や馬の蹄のリズムの象徴としても嵐の黒馬の映像は不気味過ぎやしませんかね、その辺がポーランド留学で映画を学んだ石川監督のユニークな感性なのでしょうか・・。
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