劇場公開日 2019年10月4日

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「黒い馬が雷雨を疾る幻想的なイメージシーンから、掴まれる音楽に魅入られた人々の物語」蜜蜂と遠雷 ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0黒い馬が雷雨を疾る幻想的なイメージシーンから、掴まれる音楽に魅入られた人々の物語

2019年11月16日
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鑑賞方法:映画館

三人の天才と一人の秀才のピアニストが、コンクールで優勝を目指す。

冒頭の黒い馬が雷雨を疾る幻想的なイメージシーンから、掴まれる音楽に魅入られた男女の物語で、とても良作。

トラウマでスランプになった元天才ピアニストの松岡茉優が、少しずつ音楽を楽しみ、輝きの戻る過程や日系フランス人の天才を演じる森崎ウィンや新人の鈴鹿央士などの役者の好演で見応えがある。

四人の内、努力家の秀才で社会人のピアニストの松坂桃李が、最初の予選落ちするのが、なんとも。
音楽や芸術には持って生まれた才能が不可欠なイメージを払拭することにはならない筋立てから、抜けられ無いのか。

音楽感を映像に置き換えた撮影と演出も美しくて、監督の石川慶の手腕は中々。

音楽コンクールの舞台裏や鹿賀丈史の指揮者の曲者振りなども楽しめた。

欲を言えば、演奏中にカットバッグで、ドラマが進行するので、音楽がぶつ切りになる傾向があり、尺や演出上の都合だと思うが、演奏のフルバージョンは無理でもなるべく全編を聴かせて欲しいと思う。

あと日本映画のほとんどに言えるが、音響へのこだわりと質がイマイチと感じた。映画館によって設備の優劣は有ると思うが。

京都アニメーション制作の「響けユーフォニアム」シリーズの音響に対するこだわりを見習って欲しい。演奏もきちんとフルバージョンで聴かせてくれるし。特に京都アニメーションの「リズと青い鳥」の音響へのこだわりは凄い。

ミラーズ