「天才から見える世界」蜜蜂と遠雷 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
天才から見える世界
天才とはどんな生き物であるのか、凡人の我々にこうもわかりやすく理解させてくれる作品はなかなかないのではないか。天才ピアニストたちの音楽がどこからやって来て、どんな世界とつながっているのか、彼ら・彼女らが観ている地平を凡人にも見せてくれる。「天才たちの見える世界」という、普段体験できない世界を見せてくれるという点で、平凡なファンタジー映画よりもよほど未知の体験を与えてくれる作品だ。海の向こうに見える遠雷に天才たちは何を見たのか。映像でそれをわからせる手腕が見事。
主要な役者はみな素晴らしいが、やはり新人の鈴鹿央士の存在感が素晴らしい。本当にこんな生まれながらの天才に見える少年がいることに驚いた。石川監督の役者を見抜く力を実感した。今年最も心を揺さぶられた日本映画の一本だった。
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