「世界は音に満ち満ちていて、私はその1つになることができる」蜜蜂と遠雷 awahiraさんの映画レビュー(感想・評価)
世界は音に満ち満ちていて、私はその1つになることができる
ピアノを鳴らす。
小説は既読。とても好きな作品。
映画は原作とよく似ているが、完全な別物と感じました(それが悪いという意味ではなく)
すごく良かった一方で、細部が本当に残念でした。
カメラワークやショットが本当に綺麗。これはテーマの「世界は音楽に満ちている」を絵で表現しようとしたんだと思いますが、とても良かったです。その先のメッセージも綺麗に落とし込まれていました(少し明確に示しすぎ、かとも思いましたが。原作のボカす感じが好きなので)
二次予選、およびクライマックスの演奏は圧巻でした、演奏も表現も。主役級4人は皆良かった。
一方で特に序盤、説明セリフが酷い。というか会話が全部説明じゃん。そんな最初から全て求めてないですよ。
原作は著者恩田陸お得意の群像劇ですが、本作では松岡茉優演じる女性1人の物語だと感じました。
それなのに群像劇としてのスキームを捨てられていないので、特に森崎ウィン演じる役とか、要らなくね?という印象。演技は決して悪く無かったですけど。演出の問題。
あと調律士とかクロークとか審査員とかを事あるごとに描写しているのも、やっぱり群像劇にしたかったのかな、1人の話なのか皆の話なのか、振り切れていなくてすごくモヤモヤしました。いらないし、下手。
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