劇場公開日 2019年10月4日

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「世界に溢れる音」蜜蜂と遠雷 Film_Montageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世界に溢れる音

2019年10月19日
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原作は未読で予告だけを頼りに鑑賞。

第一印象は、よく出来ていたと思う。それぞれが悩みや葛藤を抱えており、厳しい現実と向き合いながら自分の殻を破ろうともがく人間模様が面白い。

映像も美しく、心理描写をVFX交え上手く表現していると思った。

テンポも良く、気持ちの良いドンデン返しもあり総評として及第点。

しかしながら、気になった点もある。

一つは、心理描写の黒馬の扱い方。原作に絡んでいるのかと思いつつも、かなりクローズアップされているので、意味を考えるが最後まで分からなかった。なので色々と調べてみたら、世界は音楽で溢れているという表現の中の一部で、雨だれの音が、走る馬の蹄の音に聞こえるという、英伝亜夜の子ども時代の一節らしい。その表現が亜夜が成長する為の心理描写として描かれていたと理解したのだが、であればただ単にスローにして表現するのではなく、雨だれの音が馬の蹄に聞こえるというような母親との会話などがあればより深く理解出来たと思う。音の表現を映像だけで表現しようとしたのは、はっきり言って失敗だと思った。

もう一つは、手持ち撮影の多さ。コンクールに出場する奏者の不安な心理を、不安定な手持ち撮影で表現しようとした演出は良いと思うが、使用する箇所があまりにも多すぎると思った。途中で少し酔ってしまい、気持ちが冷めてしまった箇所が何度かあったので、ここぞという時に手持ち撮影という考え方があっても良いと思った。もしくは、ひどい揺れの箇所をスタビライズして揺れを緩める手法でもだいぶ違うと思う。

最後に、コンクールの結果の順位がよく分からなかった。ピアノの良し悪しは素人には分からないので、結果を見てもふーんそうなんだとしか思わず、なんだかモヤモヤした。盛り上がりはラストの奏者が一番盛り上がるのは分かるけど…。
という感じ。

しかし、役者も脚本も演出も全体としてよく出来ており、見応えもある。

観ても損はしないと思います。

Film_Montage