劇場公開日 2019年10月4日

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「音楽の本質はどこに在るか。」蜜蜂と遠雷 Bluebeatbluesさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5音楽の本質はどこに在るか。

2019年10月16日
iPhoneアプリから投稿

あまり期待はしていなかったが、それなりに楽しめた。映画としては採点のとおり。脚本的には主人公にもっとフォーカスした方が良かったのではないかと思う。圧倒的なプロレス技が使える小説(このプロレス技が小説家の凄いところだが)のように、主人公を囲む主要人物たちの背景を判らせようと描いていくとどうしても焦点が合わない。天才たちの競演自体はもっと削ぎ落として鋭利に切り取ってみせて、むしろ主人公が、世界が音楽で満ちている様と、それを自然事象や母との想い出に重ね合わせたりすることで「音楽の在り処」を抽出し、そのことに全体の80%の体力を使って欲しかった。思い切った視点で描くことで、主人公と「音の世界」が際立ち、鮮やかな色を纏い、そしてその緊張感の中で映画が成就するのではないかと感じた。

Bluebeatblues