人狼のレビュー・感想・評価
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違う映画がぞろぞろ検索されてしまう哀しさ
原作は押井守のアニメーション人狼JIN-ROH(2000)。
かえりみて、この話は悲劇的宿命の主題がじつに韓国好みだった。
押井守のアニメを原作としているのに、むしろ韓国ノワールのように見えてしまう特質を持っていた。
この逆輸入に触れた結果、元のアニメが非常に希有なドラマだったことに気づいた。のだった。
舞台やストーリーは若干異なっているが、美意識の琴線が、すごく韓国ノワールを思わせる。
そしてこんな話は、ほかにない。韓国の実写化で、元アニメの独創性に気づいた。わけである。
新感染の2作目もカンドンウォンだったが、これもカンドンウォン。
切れ長の目に鍛えた長身、旧弊なファー付ジャケットを着ている姿はまるで君よ憤怒の~のころの高倉健のようであった。個人的には、じっさい監督が高倉健に寄せている気配さえ感じた。
美白なハンヒョジュと色男のチョンウソン。が共演し、かなり本格的なフォルムで実写している。
わたしはキムジウン監督+ビョンホンの甘い人生(2005)がだいすきで、いまでも繰り返し見る。
ただ、甘い人生はホントに傑作だったし、そういう過度なきたいを持っていると、これは、あそこまでの緊張はなかった。
個人的な想像だが、もともとストリーミングサービス(NetFlix)で放映することが決まっているならば、さいしょからディレクターズカットを放映するのではないだろうか。
よく知らないが、劇場公開をするばあい、いっぱんてきに映画は二時間の枠に収めようと編集するんじゃなかろうか。
しかし、NetFlixやShudderやAmazonで放映されるものならば、あえて監督はさいしょから実験/挑戦色のあるディレクターズカットをもってくると思う。
それがオクジャ(2017)や鋼鉄の雨(2018)やこの映画の尺にあらわれているような気がした──のである。
ざっぱくな感想だが、NetFlixの映画は、そんなにタイトに編集されていないような気がするのだ。
そういえば、じぶんはオクジャを見るためにNetFlixへ加入したのだった。
2017年のカンヌ映画祭で、審査委員長をつとめたペドロアルモドバル監督は、劇場公開のない映画は選ばれるべきでないと言ってオクジャを蹴ったのだった。
翌年2018年にバーニングが万引き家族に持ってかれて、翌年2019年についにパラサイトがとったわけである。
だけど、はやい段階から大作の配給先をNetFlixへぶち込んできた韓国の戦略は、いま見ると、つくづく間違っていなかったと思う。
つまり禍が終わっても、おそらくストリーミングサービスが、映画の初回公開先になる流れが残ると思った次第です。
ハン・ヒョジュさんが見たくて
ヒョジュさんの出演作で見ました。この映画で今まで以上に美しさと演技が光っていたと思います。俳優さんとアクション目当てで見るにはもってこいだと思われます。ストーリーに所々引っかかる部分がありましたが、、、 冒頭で、2029年の韓国の治安が不安定に陥った背景について語りが入っていますが、個人的にはストーリーの土台が今一つだったように感じます。詳細に言うと、「強力な統一国家をおそれた周辺国が」のあたりです。フィクションなので、現実では起こっていない事をいかに見る側に納得させるかが重要ですが、内容が希薄だと思いました。また統一国家の旗がEU連合を思わせるイラストだったのも。。((細かすぎてすみません!
ですがやはり韓国は演技のレベルが高すぎる、、、! カン・ドンウォンさんとヒョジュさんの哀愁漂う演技に引き込まれました。 彼女はインタビューで、今まで以上に難しい役どころだったとコメントしています。憂いを帯びた眼差しに同性でも見とれてしまいました。。原作は見たことがないので多くを語れませんが、映画単品でも楽しめるのではと思います。
世界観の再現はイマイチだが
近未来、南北統一に反対する過激テロ組織セクトに脅かされる韓国は対セクト用の組織特機隊を形成するが…。
日本の同名アニメの韓国実写版。どことなく虚無さが漂う世界観の再現が少し弱く感じるものの、俳優の動きにキレがあり展望台での戦いなど見所が多い。主演の演技も好きでした。
もし近未来の半島に特機隊があったら
押井守の「ケルベロス・サーガ」韓国版。
ドイツが勝った戦後「If」ではなく、南北統一寸前の近未来「If」を舞台にしたことで、「反体制」ゲリラは「反統一」に変わり、水族館がタワーに、路面電車がロープウェイにとロケーションも変化。
更に実写ならではの派手なアクションや、韓国映画が得意とする「体制の腐敗」描写がガッツリ増量。
それ故に「ドローンならタワーの外から狙った方がいいよ!」と思わずツッコんだり、公安のハン(辺見)がかなりの下衆公務員に成り下がってるのに戸惑ったり。
とはいえ、基本的な筋書きはオリジナルと同じで、その静かな空気感はきちんと受け継がれてるし、特に終盤下水道でイム(伏)が狼に戻るくだりは完全に原作通り。
その後もちゃんと「敵側にとってのホラームービー」になってて、しかも原作以上に人狼が速くて強くて痺れた。
しかしだからこそ、ラストの展開をうまく咀嚼できなかったのも確か。
組織に殉じ「狼」としてしか生きる術を持たない主人公の絶望とともに幕を閉じる悲劇が、全く違うラストに。
おそらく、過去の「If」ではなく、自国の未来についての「If」を描くにあたって、少しでもラストに救いを与えたかったのかな…と解釈しています。
この映画のような社会の混乱が、今も隣り合わせの国だからこそ描けた、過酷な殺し合いと微かな希望。
多分今の日本では描けない物語だし、多少残念ながらも「これについては日本製じゃなくて良かった」と素直に思えた実写化だった。
あと要所で溝口肇さんの原作サントラが流れて、マジ最高でした。
アニメより娯楽度高め
アニメ版の内省的な雰囲気を、韓国映画らしい思い切りのいいアクションで娯楽度アップさせた好企画。
突っ込みどころは言い出したらキリがないけど、もともとのわかりにくさをして、これだけ楽しませたんだから充分では?
ソウルタワー(南山タワー)の使い方とか、やっぱりアクションはシチュエーションの選び方が大切だと思う。
かつ、童貞的なロマンチシズムも濃厚に漂っていて、オリジナル版へのリスペクトを感じる。
バカな中学生が考えたような世界情勢。
序盤からあれってなりました。中国と日本が軍拡化、それに脅威を感じ朝鮮統一しようとするもアメリカ、ロシアの制裁で止められ国内情勢が悪化…てバカか。朝鮮統一しても大国の日本や中国、アメリカ、ロシアは相手にしないよ。ちんけな国力なんだから。ファンタジーすぎるよ。
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