「ハリー・ポッターもギャングと同じ!色分けして敵対するから・・・?」ヘイト・ユー・ギブ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリー・ポッターもギャングと同じ!色分けして敵対するから・・・?
アフリカ系アメリカ人の住民がほとんどである、ガーデン・ハイツという低所得者向け地域。高校生のスター・カーターもその町に住むが、地元の高校だと危険だというので兄とともに郊外の私立高に転校していた。白人がメインのその学校で、白人のクリスと付き合ってるスター。人種差別など全くないような雰囲気ではあったのだが・・・
父親はかつてはヤクの売人なんかをしていて、地元の元締めキングの右腕とも言われた男。そんな父親からは英才教育のようにブラックパンサー党の戒律を暗記させられていた。警察から職質を受けたら、「両手を見えるところに置いて動かさない」などの身を守る行動が中心だ。
ある時、地元のパーティの帰り道で幼馴染みのカリルに送ってもらうが、途中、警察に車を止められ、ヘアブラシを持ったがために警官から銃殺されてしまうカリル。一部始終を目撃したスターは精神的ショックを受けるが、やがて女性弁護士オフラから大陪審で証言してほしいと頼まれる。父は賛成、母は反対の立場。迷いながらも、白人の友人と口論となったことがきっかけで証人になると決断する。
ラッパーの2PACが取り組んでいた「THUG LIFE」が基となり、「子供に与えるその憎しみが全てを蝕む」といった意味を込めてます。最終的にはその憎しみにも負けずに、そこから成功するために行動するといったメッセージがあるのですが、何度も一触即発の状態に陥ってしまう現実。無抵抗の黒人を白人警官が射殺する事件が何度あったことか。
全体的にちょっと弱いのが、証言の中でキングの名前を出してしまったこと。確かにアリルは丸腰だが、ドラッグディーラーとして金を稼いでいたことも問題視されてしまう。そして、黒人警察官であるスターの叔父が免罪符のようになってしまわないかという疑問。ただ、彼を問い詰める父が「警察官として相手が白人か黒人かで判断が変わる」という答えを引き出したところは上手い。
何点か気になるところはあったけれど、無罪放免が決まった時のデモ行進は感涙必至。女子高生が拡声器で叫ぶのは、いかにも非暴力の象徴であるかのようで清涼剤のような役割を果たしていました。何度か見たことあるけど、このアマンドラ・ステンバーグもいい女優になりそうですね!