「この映画と出会えて良かった!」ヘイト・ユー・ギブ shironさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画と出会えて良かった!
正直、ものすごい映画を見せていただきました!!
今年も外国映画輸入配給賞授賞式に参列できる幸運に恵まれ、特別上映にて鑑賞。
きっとこの映画を観た誰しもが、骨太なストーリーに打ちのめされることでしょう。
大人でもなく子供でもない主人公は、社会的な問題とアイデンティティについて、自分はどう関わっていくのか?割り切って受け入れるのか?戦うのか?の選択を迫られます。
ショッキングなクライマックスは、負の連鎖の闇の深さに愕然としますが、主人公の勇気ある行動に涙が止まりませんでした。
私立高校に通う主人公は、地元と学校とで別々の自分を演じ分けることによって、上手に二つのコミュニティに馴染んでいた。
だからこそ、黒人社会側の主観と、白人社会側から見た客観を持ち合わせる事が出来て、黒人同士ですら社会が貼ったレッテルに縛られていることを見抜く。
どのシーンも印象深いのですが、特に従兄弟の警官へ質問を投げかけるシーンは、大人としてズッシリ堪えました(−_−;)
きちんと彼女と向き合って、綺麗事に逃げずに正直に答えた大人も立派。
そう!主人公を取り巻く大人達がそれぞれ自分の立場の信念を持っていて、主人公と真摯に向き合う姿も良かった。
そんな大人達の生き様から、自分の生き方を選択して子供は大人になる…。
でも、本作がすごいところは、主人公が大人になるだけでなく、今までの大人達を超えていくところ。
暴力に抵抗する為の暴力が生んだ負の連鎖を、大人達とは別のアプローチで断ち切れる日が来るのではないかと、一筋の希望が持てる存在でした。
緊張感のある画面づくりが良かったです。
トップシーンの家族の緊張感は、そのまま街の緊張感へと繋がり、社会が抱える緊張感へ広がります。
自宅や車内のシーンにも常に薄っすら緊張感が漂っていて、こんな緊張感の中で暮らしていることのストレスを疑似体験しました。
これって携帯の画面で見ても伝わるのかしら??
日本未公開なのが、戦略なのか、大人の事情なのかは知りませんが、良い環境で観ることが出来て本当に有り難かったです。
映画観賞は一期一会。
どの映画と、いつ、どんな風に出会うかで映画の印象が変わると思っています。
私は劇場至上主義者では無いので、あまりお金をかけず良い映画を沢山観たいww
でも、日常から隔離された空間で集中して観た映画は、受ける印象も、後々になってからの記憶の残り方も全く違うと感じています。
いろいろチョイスの幅が広がって便利な世の中ですが、劇場公開がチョイスの枠に入っていることの有難さを感じました。
『ROMA』は配信から劇場公開へ
『カメとめ』は単館から全国へ
今、私たち観客と配給会社の熱い思いが繋がればムーブメントを起こす事だって出来る!
良い作品を一人でも多くの人に。
『ボヘラプ』だけにとどまらない、20世紀フォックス映画の魅力を再確認するとともに、
記念上映に本作を当ててくる心意気にも感激しました!!
#ヘイト・ユー・ギブ #20世紀フォックス