「ファンタらなんちゃらよりよっぽどスピンオフ」ヘイト・ユー・ギブ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ファンタらなんちゃらよりよっぽどスピンオフ

2018年12月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

貧しい黒人達ばかりが住んでいる町ガーデン・ハイツに住む16歳のスターは兄のセブンとともに裕福な白人達が住むウィリアムソンにある私学に通っている女子高生。リベラルな校風の中で大好きなバスケに熱中しクラスメイトや彼氏と学園生活をエンジョイしていたが、あるホームパーティで久しぶりに会った幼馴染のカリムの車で帰宅途中に白人警官に職務質問されたことから町を揺るがす大きな事件に巻き込まれてしまう。
原題が暗に示している通り、憎しみの連鎖をテーマにした作品。小さな町で起こった事件をきっかけに幼い頃から目を背けてきた現実を否応なしに直視させられた女の子が意を決して立ち上がると、そこにはまた憎悪が立ち塞がるという重い主題ですが、スターの両親、兄弟、親戚、友人、彼氏らに支えられて勇気を奮い立たせる姿を丁寧に描いたあくまでも瑞々しい青春映画。世界は変わっていないことをまざまざと見せながら、それでも希望はあるんだという眩しさもしっかり見せる。こんな作品なのにベースにあるのが『ハリー・ポッター』なのがものすごく意外でした。

よね